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クマガイソウ
 
   山道の脇で、このクマガイソウの群落を見つけたときには息が止まりそうになった。山野草屋の店先ならともかく、まさか、野生のクマガイソウを見ることができるとは思ってもみなかった。
 夢中で写真を撮ったが、なんだか悪いことをしているようで、心臓がドキドキしてならなかった。ひとしきり撮影した後、やっと我に返って群落を見回すことができたが、雑木林の木漏れ日の中で100以上の花が揺れているのは夢のような光景だった。
 心臓のドキドキは下山をしてからもしばらく戻らなかった。
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