津江四十八滝 (うづえしじゅうはちたき)                   [飛騨] 880m

 

 連休を利用して飛騨古川へ出かける。古川の街並み散策の前に、宇津江四十八滝に寄る。
 四十八滝と言えば赤目が有名だが、飛騨にもある。地形図から見るとそんなに深山幽谷という感じでもなさそうだし、以前から気になっていた。遊歩道も完備しているようだし、病み上がりのリハビリには丁度良さそうなので寄ってみることにした。

 国道41号から滝への道に入ったのはお昼前。少し早いが腹ごしらえをしていこうと思っていたら、道端に「そば」ののぼり旗が目に入った。
 「飛騨に来たらやっぱり蕎麦だな。」
と、田舎屋敷風の店に入った。通されたのは畳敷きの二間続きの広間で、いくつか座卓が並んでいる。障子が取り払われていて、小さな庭越しに色づいた田んぼと向かいの小山が見える。吹き抜けていく風が気持ちがいい。今年は冷夏であったが残暑が厳しくて、今日も名古屋は30℃を越えているという。それを思うとこの風は値千金だ。

 ところがお品書きを見てちょっとびっくり。蕎麦の前に伊勢うどんが載っている。
 「おいおい、飛騨まで来て伊勢うどんかよォ。」
と思ったが、まあ、うどんも嫌いではないのでお薦めに従って伊勢うどんを頼む。得意メニューを注文された方が店も嬉しいだろう。

 出てきたうどんはまさしく太く柔らかく汁の少ない伊勢うどん。これはこれでうまい。
「きっと、お嫁さんか誰かが伊勢の出身なんだろうな。」
などど、勝手な想像をする。
 食べ終わって畳の上に寝転がっていると、風が実に気持ちいい。このまま昼寝をしていきたい気分だが、だんだん店も込んできたので、仕方なしに腰を上げることにした。

 日帰りの温泉施設を通り過ぎて、道の終点が遊歩道の入口。「しぶき」という名のレストハウスの前の駐車場は一杯だったので、少し戻って、キャンプ場の駐車場に止める。
 歩きはじめるとすぐに渓谷らしい雰囲気になる。気軽な格好のハイカーや熟年カメラマンなどでなかなか賑わっている。

滝巡りマップ (飛騨国府観光鰍フマップから)

 
 カツラやトチノキ、モミジなどの落葉樹に覆われた渓谷はとてもいい感じで、奥入瀬のミニ版といった感じ。見上げれば少し色あせてきた葉っぱが日差しを受けてキラキラ光る。
 流れのそばの石にも苔が付いていて、あまり流量が変わらない事が分かるが、これも奥入瀬と似ている。ただ、滝が連続しているので、傾斜はこちらの方がずっときつい。

 

サワグルミの葉っぱ

 流れをはさんで遊歩道が両側に付いているところが多く、基本的には流れの右側(左岸側)が登りのようだ。
 ゆるゆると登った道は函(はこ)滝という大きな滝に当たる。函滝の手前に平滝が添い、奥に上段滝がわずかに見えて奥行きがある眺めだ。いいポイントらしくスケッチをしている人が二人。

手前が平滝、奥が函滝

 右を巻いて上がると王滝。一番大きな滝らしいが一直線に落ちるだけであまり風情は無い。

 滝つぼ近くの岩肌にダイモンジソウが咲いているのを見つけてカメラを向けたが、落水の風圧で花の揺れが止まらない。家に帰って写真を見たが、どれもブレブレだった。

フレブレのダイモンジソウ
 
 

 堰堤からの放水のような銚子口滝を過ぎて、少し山道を登る。道端にはカメバヒキオコシが小さな青い花を付けている。
 登りきると展望台。北アルプスの山々が望めるはずだが、槍穂も乗鞍も雲の中。わずかに低い焼岳が山頂まで見えている。

 その上は、また、緩い渓谷状になり、感じのいい布晒滝を過ぎると小さな上平滝で滝巡りはおしまい。今度は右岸側を下る。

布晒(ぬのさらし滝
 

 行きには見えなかったわん水滝、障泥(しょうでい)滝を見ながら登りの道に合流し、王滝に戻る。ここから再び右岸に渡り、函滝の上を通って石畳の道をトントン下れば、入口のレストハウスに戻る。
 

わん水滝 障泥(しょうでい)滝

 
 遊歩道がよく整備されていて、手軽に歩ける割にはいい渓谷でした。紅葉の頃はもっと素晴らしいのだろう。観光客が少ないとは言えないが、都会の近くにあったらもっと混雑するのだろう。
 思ってた以上にいいところでした。

 


[山行日] 2003/9/14(日) 
[天気] 晴れ
[アプローチ]

東海北陸自動車道 清見IC(R158、県道、R41)→ 四十八滝P    [約30km]
・ レストハウス「しぶき」の手前、総合案内所の前にも大駐車場あり。
 

[コースタイム] 遊歩道入口 (1:00) 上平滝 (0:40) 遊歩道入口     (計1:40)
・ 写真を撮りながらのんびり歩いてこんなもの。

 

宇津江四十八滝
飛騨国府観光鰍フHP

飛騨古川
・古い街並みが残る落ち着いた町。高山よりも静か。
・焼だんごを食べながら歩きたい。
瀬戸川の鯉  民家の簾


   
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