赤沢自然休養林(あかざわしぜんきゅうようりん)          [木曽] 1110m(駐車場付近の標高)

 

 職場の山グループ「山歩会」で南八ヶ岳の権現岳に行く予定だったが、天候不順で中止。ぽっかり空いた週末だが、日曜の天気予報は意外に良さそう。
 名古屋のアーリィバードさんから赤沢自然休養林にオオヤマレンゲが咲いてるという情報があった。オオヤマレンゲの花はまだ見たことがなくて、奈良の大峰山に行かないと見られないと思っていたので、急遽出かけることにする。

 多治見IC近くで、 I さんを乗せて木曽路を北上。10時半ごろ赤沢休養林の駐車場に到着。梅雨の真っ最中なのに、既に真夏のような暑さの下界とは違い、風がとても涼しい。そばを流れる谷川の水も、涼しげに岩の上でしぶきを上げている。

 まずは中立橋を渡り、オオヤマレンゲを目指して谷沿いの道をたどる。しばらく行くと、左側の山腹に白い花が咲いているのが見えた。意外に近い。ただ花は少ない。

 休養林のガイドブックにはオオヤマレンゲ群生地とあるが、群生地というほどの本数はない。それにつぼみや既に茶色に変色したものは目に付くが、ちょうど撮りごろの花がない。悔しいので半開きの花を撮るがちょっと消化不良。まだあるかと先に進んでみたが、結局オオヤマレンゲはそこだけだった。
 

 オオヤマレンゲ以外には特に目的はないので、そのまま向山コースを進み、連絡コースを使って中立峠に出る。真っ直ぐ伸びた桧の幹が美しく、ベンチがあるのでここで一服。I さんは、スケッチブックを取り出してペンを走らせ始めている。

 その間、僕はノンビリと峠付近の森を歩いてみる。わりと太い桧が多いが、桧の下は日陰に強いアスナロの稚樹が多く、放っておくとアスナロの森になってしまうのかもしれない。

 峠からは湿った道をなだらかに下る。どこかでオオルリが鳴いているが、葉っぱの影でどうしても姿が見えない。カラ類もツピーツピーと梢と渡っていくが、逆光でよく見えない。

中立峠でスケッチする I さん
 
 丸葉橋のたもとの休憩所で弁当を食べ、本谷の流れを離れて御神木伐採跡地に向かう。

 御神木伐採跡地は伊勢神宮の御神木を切った森らしく、立派な桧が立ち並ぶ中にぽっかりと空間が開いている。そばに切り株がふたつあり、小屋掛けがしてある。
 案内板によれば「御神木つまり御樋代木(みひしろぎ)の切り株で伊勢神宮の神宿る御神体を安置する特別な木」とのこと。ふたつあるのは内宮と外宮のものらしい。
  昭和60年の切り株らしいが、斧の跡がなまなましい。

 

斧跡が残る御神木の切り株(外宮の方の切り株)
 
 御神木伐採跡地からは再び谷に下る。桧林の中の道は、木の根が地面に血管のように浮き出ていて、大地をしっかり掴んでいる。
 珍しく、ミズナラの大木が2本混じっている。

 下りきった所が呑曇渕(どんどんぶち)。節理の入った岩が滑り台のようになっていて、夏に水遊びをしたら気持ち良さそうだ。

 赤沢自然休養林は桧の美林で名が知られた所だが、歩いてみると、沢沿いには意外に落葉樹が多い。紅葉の頃もきっといいだろうと思う。
 特にマルバノキ(ベニマンサク)が多いのには驚かされる。以前、わざわざこの花を見るために飯田の風越山に登ったことがあるが、ここの方がはるかに多いし、手軽に見られる。こんなにポピュラーな樹だったんだろうか。

呑曇渕
 
 森林鉄道の線路をまたいで谷の向かい側の森に入ると、すぐに背の高い桧の森になる。ここの桧はひときわ大きい。 見上げると梢がはるかに高い。太さもかなりある。

 妙に細い根上がりの切り株があり、森の中を這い回る巨大な生き物のように見える。

異形の切り株
 
  森を抜けると、小さな沢に出る。椹窪(さわらくぼ)という場所で、サワラの大木が立っている。Iさんは下りが苦手で足が痛くなるので、休憩所でちょっと休憩。I さんは変わった根っこをモチーフにスケッチを始め、僕は冷沢コースを少したどってみる。

 台地に上がると林床がすっきりした桧林が広がっていた。解説板によれば、下刈りをして天然更新を目指す林らしい。明かるくて気持ちのいい所だ。ベンチで弁当をだべているグループもあった。

天然更新を目指す桧林
  休憩所に戻り、冷沢沿いの道を下る。ここも沢沿いなので落葉樹が多い。

 森林鉄道の線路を渡るとメインルートの「ふれあいの道」に出る。道幅の広い、しっかりした道で、車椅子でも利用できるとのこと。ヤマボウシが今を盛りに咲いている。少し下ると出発点の中立橋に戻った。

ヤマボウシ
 I さんには先に駐車場に戻ってもらい、オオヤマレンゲのつぼみを撮りそこなったので、もう一度群落地に寄って見る。
 すると、午前中は半開きだった花がきれいに咲いている。
つぼみだったものは少し開きかけていた。アーリィバードさんが一日しか咲いていない花だと言っていたが、次々に咲いて、次々に萎れてしまうのだと実感した。

 思ったほどの群生地ではなかったが、最後に見事な花を見られて満足、満足。

満開のオオヤマレンゲ

赤沢自然休養林HP


[山行日] 2004/6/27(日) 
[天気] 曇り
[アプローチ] 中央自動車道中津川I.C. (R19号)→ 上松 →(県道)→ 赤沢自然休養林   [約65km]
・駐車料金600円/1日
[コースタイム]

10:40  駐車場  (向山コース)  オオヤマレンゲ群生地  (向山、中立連絡路)  中立峠  (中立コース)  丸葉橋  (駒鳥コース)  御神木伐採跡地  (駒鳥コース)  呑曇渕  (駒鳥コース)  椹窪  (駒鳥コース)  アスナロ橋  (ふれあいの道)  駐車場  13:40  

[地図] 奥三界岳、木曽須原(1/25000)

 

[温泉] 冨貴の森温泉 床浪荘  TEL0264-58-2031 
・長野県木曽郡南木曽町吾妻
・R256大平分岐やや妻籠寄りに看板有。
・入浴料550円。石けん、シャンプー、ドライアーあり。
・露天風呂、ジャグジーあり。
・露天風呂は木の湯舟。開放的で周りの緑が気持ちいい。
おすすめ。
[HP] 赤沢自然休養林(上松町観光協会)

   
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