段戸山(だんとさん) [愛知県・奥三河]1152m
「段戸の山にゐる雲は、いつしか消えて朝はれぬ」 卒業した高校の校歌は段戸の山で始まった。 段戸山は奥三河の設楽町にある標高1152mの山。奥三河の山の中ではまずまずの標高だが、緩やかな起伏をなす三河の山はどれも山容が似ていて、段戸山はその山並みに紛れて、遠くからはほとんど同定できない。1/25000地形図にも登山道の破線は記入されていない。山渓の分県登山ガイド「愛知県の山」にも取り上げられない、登山の対象にはなり難い山だ。 岡崎にある高校から段戸山が見えるとも思わないし、見えたとしても目立つ山ではないので、校歌に歌われている「段戸の山」は奥三河の山々の総称だとは思うが、地図に「段戸山」とあるからには、一度は登ってみたかった。 R153を稲武町の段戸山牧場の看板のところで町道に入り、牧場の中をぬけて駒ヶ原に向かう。今年の冬は雪が多く、登山口まで車で行けるかどうか心配だったが、路肩に古い雪が残っているだけで、何ということはなく駒ヶ原まで入ることができた。駒ヶ原から林道に入り、駒ヶ原山荘の少し先の林道が分岐しているところに車を停めた。数台の車が路肩に停まっている。分岐には岩岳登山口の標識があり、丁度一組の夫婦連れが標識の指す方向に歩きはじめたところだった。 |
黒田川の流れ |
段戸山へは岩岳の方ではなく、林道をまっすぐ南に向かう。林道は黒田川に沿っていて、何度か橋を渡る。沢の底は岩盤になっていて、澄んだ水がコーティングしたガラスのように岩の上を流れている。 20分ほど行ったところに小さな矢印があり段戸山の登山口を示している。山頂まで45分とある。登山道は杉の植林地の中を少し戻るように続いていて、小さな沢に出ると、それに絡んで登っていく。登山道というよりは植林の作業用の踏み分け道と言った方がいいくらいの細い道だ。 |
小さな沢沿いに登っていく |
時々沢から離れるが、道はほとんど沢沿いについていて、何度か沢を渡る。雪が残っているが、良く締まっていて靴がもぐることはない。この小沢も底が岩盤になっていて、表土が薄い感じがする。 樹種が杉から檜に変わり、尾根が近いことが分かる。左手の小さな尾根を回りこみ、隣の沢に出た後、道は檜の植林地の斜面をジグザグに登っていく。雪があるので道がはっきりしないが、短い距離なので強引に登って尾根にでる。尾根上の雪道を右手に行くと、直ぐに段戸山の山頂だった。 |
稜線に出れば山頂はすぐそこ |
驚いたことに先客がいた。こんな季節にこんな山に登る人がいるとは思えなかったので、ちょっとびっくりした。山頂は割と広くて、樹木に囲まれた広場のようになっている。東の方だけ樹木の丈が低く、展望がきくが他の方角は何も見えない。ガイドブックには眺めが良いとあったのに・・・・。 一番高いのは茶臼山だろうか。そうすると手前にあるのは碁盤石山あたりで、その右手に三角に見えるのは古町高山だろう。一番手前の低いのは岩岳だろうが、なだらかな山頂あたりがかなり伐採されている。もやっていて南アルプスは見えない。 先客の2人連れが下った後は他に誰も登ってこない。のんびり昼飯にする。耳をすましてもほとんど何も聞こえない。 |
茶臼山方面を望む |
山頂には二等三角点があり、その傍らに母校の石碑が立っている。ガイドブックにこの石碑のことが記されていたので、2mくらいの大きな物を想像していたのだが、実際は御影石の高さ80cmほどの四角い石柱だった。石柱に刻まれた文字により、昭和51年に創立80周年を記念して立てられたことがわかる。校歌ゆかりの地ではあるが、これを担いで山頂まで運び上げるのはさぞ大変だったろうと思われる。 |
山頂。右端が石碑。 |
下山はまっすぐ北に続く尾根をたどる。道らしい道は10mくらいで、すぐに笹がかぶった細い踏み分け道になってしまう。雪道用にスキーのストックを持ってきたのだが、ストックのリングが笹薮に引っ掛かって歩きにくい。尾根の上は最初はブナやリョウブの明るい林だが、下るにつれて檜の植林になってくる。 道は1032mのこぶまでだらだらと下がっていき、最後の方だけ少し急になって林道に出た。ガイドブックの地図では駒ヶ原山荘の近くに出るように描いてあるが、実際にはもう少し西よりの黒田川を渡る橋のところに出る。橋のたもとに登山口を示す小さな標識がある。 |
ミヤマシキミ(1032mのピーク) |
ぶらぶらと林道を歩き、車まで戻る。途中、川岸にマンサクが咲きかけていた。雪は残っているが春は近いようだ。 汗をかくほど歩いてはいないが、稲武のどんぐりの湯で暖まって帰る。 |
アイコンをクリックするとマップがでます。 <田口、寧比曽岳 (1/25000)>
[山行日] | 2001/3/3 | |
[天気] | うす曇り | |
[アプローチ] | 岡崎 →(R248)(県道39号)→ 足助町 →(R153)→ 稲武町高田木 →(町道)→ 段戸山牧場→駒ヶ原→岩岳登山口 [約60km] | |
[コースタイム] | 岩岳登山口 (0:20) 段戸山登山口 (0:45) 段戸山山頂 (0:50) 林道に出る ( 0:15) 岩岳登山口 (計2:10) |
[ガイドブック] | 「こんなに楽しい愛知の130山」 あつた勤労者山岳会編<風媒社 発行> | |
[温泉] | 稲武温泉「どんぐりの湯」
tel 05368-2-3135 ・「道の駅いなぶ」に併設された温泉。 温泉に隣接する福祉センターの工事中に、3千年前の縄文人が食料に貯えたどんぐりが出土したことから命名された。 ・入浴料600円。水着着用の健康クアゾーンもあり、共通利用券1200円。 ・浴室が広くゆったりしている。サウナ、檜風呂、週代わりの薬湯(この日は桃湯だった)もある。 ・シャンプー、ドライアーあり。 ・露天風呂もあるが、狭いうえに駐車場しか見えず、情緒は無い。 |