( がっさん)                    [東北] 1980m
神と仏の山 No.4

 昨年の夏は四国の剣山に登ったが、今年は東北の月山、蔵王山に登ることにした。どちらもお手軽百名山である。そしてどちらも名古屋空港から小型の定期便が就航している。徳島空港へは中日本航空のフォッカーが、山形空港へはJ-AIRのCRJ−200が飛んでいる 。どちらも60人〜70人程度の定員で乗っていて楽しい。去年のフォッカーはプロペラ機だったが、今年は小型とはいえジェット機。山形空港まで50分しかかからない。

 志津温泉の宿から、登山口である姥沢の駐車場へ向かう。晴れてはいるが、月山の山頂付近は雲の中だ。今年は暑い夏だが大気が不安定な日が多く、昨日も夕方雷雨があった。

 駐車場は随分広いのだが、もうかなり車で埋まっている。驚いたことに観光バスも多い。リフト乗り場までは10分ほどの歩きだが、家族連れや小学生の団体に混じって歩いていると、テーマパークにでも来たのかと錯覚してしまう。小学生の団体の後ではリフト待ちが大変と、自然に足早になってしまい、乗り場に着いたときには既に息が切れてしまった。
 

 リフトの上で息を整え、降りたらすぐに歩き出す。降り場付近にももうかなり人がいる。さすが百名山。でも、それにしても人が多い。

 山形県には鳥海山、蔵王山、朝日連峰と名山が多いけれど、どれも県境にあって、純粋に山形県の名山は月山だけのため、山形の人は月山にひときわ愛着があると聞いたことがあるが、頷けるような気がする。
 リフトへ向かう子供連れのお母さんは、小学生の時に遠足の思い出を子どもに話しながら歩いていた。

リフト駅を見下ろす
 
 リフトからすぐの分岐で、直接月山へ向かう木道を右に見送り、左手の姥ヶ岳に登る。リフト上駅は1500m程の標高だが、すでに森林限界を超えている。あたりは草原で、ところどころに池塘も見られる。

 姥ヶ岳の山頂一帯はお花畑で、シロバナトウウチソウ、タテヤマリンドウ、シラネニンジンなどが目立つ。アザミの類もあるが名前が分からない。
 西側に見えるのは湯殿山のようで、その右側の谷に昨日、湯殿山神社に行く途中に見た茶色の崖が見える。
 

シロバナトウウチソウ
 
姥ヶ岳山頂からの湯殿山
 
 ここからは尾根伝いに月山に向かう。尾根上ではあるが木道が敷いてあるところもある。残念ながら月山本峰は ずっと雲の中だ。

 右手を見下ろすと、リフト駅から牛首へ続くのと、下の姥沢小屋から登ってくるものの2本の木道が、緑の草原に白いラインのように延びている。
 相変わらず人が多く、団体さんの間に挟まったりしてマイペースでは歩けない。

月山本峰へ続く稜線
 
 遠くからほら貝の音が近づいてくる。50人ほどの白装束の人たちがほら貝を持った先導の人に導かれてやってくる。羽黒山から月山を越え、湯殿山に向かう道者の人たちだろう。

 すれ違うときに良く見れば、ほとんどの人は白い地下足袋で、なかなか大変そう。若い女性も混じっている。信仰の山であることを改めて感じさせられる。

白装束の道者さん
 
 牛首からは急な登りになる。岩の多い道で、下りも登りも人が多いので渋滞気味だ。ツアーのバッジを胸に付けた団体さんが下ってくると、すれ違いが大変だ。
 山頂手前にあるはずの鍛冶小屋は倒壊したのか、土台しか無かった。
牛首を越えると最後の登り
 
そこから一登りで山頂に着く。山頂は遠望のとおり、だだっ広い。ガスの中をまずは月山神社本宮を目指す。山頂小屋の脇を抜け、石垣に囲まれた坂を上ると小さな鳥居がある。

 その先は月山神社の境内地でお祓い料500円を払わないと入れない。若い神官がお祓いをするのだが、白衣の下にTシャツが見えていて、何とも効き目がなさそうに思われる。紙でできた人形(ひとがた)で体のあちこちを拭い、そばの水溜りに流してお祓いは終わり。本殿の前に進む。

一番高いところが月山神社本宮
 
 すでに太鼓を叩きながらの祈祷が行われている。皆、白装束の信者の人で、登山者はなんとなく部外者のような感じ。お賽銭をあげようとしたら、屋根の上に置かれた鏡をめがけて投げている人がいた。当たればご利益があるらしく、真似してみたが、ザックが邪魔で全く的外れだった。

 昨日の湯殿山神社と同じく、ここも本殿近くは撮影禁止。湯殿山と違って御神体が露出している訳ではないのだから、ここまでしなくてもいいのにと思う。(でも、罰が当たると怖いから、おとなしく従う(^^;)
 

 神社から出て、少しガスが薄くなってきた山頂一帯を見渡すと、広い山頂のあちこちに散らばって人が休んでいる。登山者も多いが、白装束の信者のグループも多い。 おばあちゃんから子どもまで皆白装束の一家もいて、今なお信仰に支えられた山であることが実感される。
 百名山+信仰の山+お盆休み+日曜日ということで、ひょっとしたらこの夏一番の人出ではなかろうか。あまりの人出に、踏みつけられる高山植物が心配になる。
ハクサンシャジン
 
 山頂を歩き回って、あちこちで高山植物の写真を撮る。ハクサンフウロ、ハクサンイチゲ、アキノキリンソウ、エゾシオガマなどおなじみの花も多いが、東北の山だけあって名前が分からないものもある。
 月山が南限であるエゾツガザクラを探したのだが、残念ながら見つけられなかった。
 
たくさん見かけたイワショウブ
 
木道脇に咲くニッコウキスゲ
 

 下山も同じ道をたどり、牛首から姥ヶ岳の東を巻いてリフト上駅に戻る。途中、雪渓からの流水で顔を洗い、喉を潤す。山の趣は高山なのだが、実際の標高は低いので日が射してくるとずいぶん暑い。
 暑い暑いと言いながら、リフトに乗って、下山した。汗びっしょりなので、途中の水沢温泉館に寄り、すっきりして今夜の宿の蔵王温泉に向かった。
 

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[山行日] 2004/8/8(日) 
[天気] 曇り
[アプローチ] 8/7(土)山形空港 (R287,R112)→ 湯殿山神社参拝 →(R112)→ 志津温泉   

8/8(日)志津温泉 →(県道114号)→姥沢駐車場        [約6km]
・大きな駐車場あり。トイレ、更衣室もある。美化協力金200円/人

 姥沢駐車場 →(徒歩:10分)→ 月山リフト下駅 →(月山ペアリフト:7分)→ 上駅

[コースタイム] リフト上駅 (0:25) 姥ヶ岳山頂 (0:35) 牛首 (0:45) 月山山頂 (0:40) 牛首 (0:25) 水場 (0:20) リフト上駅    (計3:10)
[地図] 月山(1/25000)

 

[温泉] 水沢温泉館  
・R112、西川町、月山銘水館となり。
・入浴料300円。安い!
・露天風呂なし。石けん、シャンプー、ドライアーあり。

・天井が高くて気持ちがいい。

   
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