西岳(にしだけ)2398m、権現岳(ごんげんだけ)2715m、編笠山(あみがさやま)2524m [八ヶ岳] |
一昨年の夏に計画したが、天気が悪くて行けなかった権現岳。今回も台風が九州あたりにウロウロしていているが、「まあ、なんとかなるだろう」と、前回同行予定だった Tu さんに加え、Ta 君も誘って3人で出かけた。 権現岳は小淵沢町の観音平から編笠山、権現岳、三ツ頭を回るのが一般的なコースのようだが、今回は西岳にも登りたかったので、富士見高原ゴルフ場裏の林道から西岳に登り、青年小屋に泊まって、翌日、権現をピストンし た後、編笠山を越えて林道に戻るコースをとることにした。 |
林道のゲートの前には駐車スペースがあるが、土曜日なのに3台しか止まっていない。
あまり人気のないコースなのかと心配になる。人が少ないのはうれしいが、道が荒れていると時間がかかる。 ゲートの横を抜け林道を歩き始める。周りから木々の枝が伸びて、日陰になっていてありがたい。 林道のカーブのところで編笠山への登山道を分け、さらに進む。標識に導かれて林道から少しはずれたところに、不動清水が湧いている。パイプの先から冷たい水が流れ出していて、顔を洗ってさっぱりする。西岳への登山道は清水の後ろの森の中に続いている。
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不動清水 |
山の傾斜は緩いのだが、登山道は真っ直ぐ登っていて、なかなかしんどい。時々、下山者とすれ違うが、朝、青年小屋を発った人たちだろうか。 なおも登ると地形図にはない3本目の林道を横切る。登山道の近くに、四駆の車が止まっていて驚く。林業の人の車には見えないが、こんなところまで入って来られるのだろうか。
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登山道に岩場が現れてきて、少し登るとガレ場に出た。急に展望が開ける。 直ぐ隣に編笠山が、広い高原に向けて長い裾野を伸ばしている。左手には頂を雲に突き刺しているピークが見え、権現岳かと思ったが、権現手前のギボシのようだ。 |
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ギボシ(左)と編笠山(右)、鞍部に青年小屋がある |
ガレ場からはわずかな登りで西岳の山頂だった。 |
阿弥陀岳(左)と赤岳(右) |
ギボシ(左に旭岳) |
山頂の草地はお花畑になっていて、マツムシソウ、ヒメシャジン、イブキジャコウソウ、ホタルブクロ、ハナイカリなどが咲いている。 |
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マツムシソウ(西岳山頂) |
西岳からの下りで Tu さんが脚を痛め、ややペースを落として青年小屋に向かう。シラビソの静かな森を抜けると乙女の泉。キャンプ場の水場にもなっている。水量はあまりないが、手を浸すととても冷たい。地表水のように見えるが、湧き水に近いのだろう。ここでも顔を洗って生き返る。 |
乙女の泉からはほとんど登りなしで青年小屋に到着。いつもすいている小屋だと聞いてきたが、今日は小中学生の40人ほどの団体さんが来ていて、混んでいる。でも8畳ほどの部屋に6人なのでまずまずか。食事の時間までビールを飲んでのんびり過ごす。 昨年皇太子が泊まって権現
岳に登ったそうで、談話室に写真が掛けてある。外の立派なバイオトイレは皇太子効果なのだろうかと考えてしまう。 |
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ギボシ(左)と権現岳(右)、青年小屋前から |
翌朝は5時に起床。朝食を済ませて6時半、権現に向けて出発。荷物は小屋に預けて空身に近い。 天気は上々で、樹林帯を登るにつれて、編笠山の左に南アルプスの北岳、甲斐駒、仙丈がせり上がってくる。木々の間からは、昨日登った西岳が、きれいな三角に見える。 Tu さんに周りに生えているシラビソとオオシラビソの違いを教えてもらいながら歩く。 |
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日の出前の富士 |
編笠山をバックにした青年小屋 |
西岳 |
ところが、登るにつれてどんどん下の方から雲が湧き出してくる。
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左から北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳 |
赤岳方面はガスで真っ白。楽しみにしていた大展望はまるでなし。空模様に安心してしまい、1時間出発が遅かったかなと後悔しきり。でもまあ、仕方ないね。
権現山頂の岩場で記念撮影。山頂は岩の重なりで平らな所がない。一番高い岩の上は怖くて上がれなかった。 |
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権現岳山頂。山頂の岩に剣が立っている。(左下がギボシ) |
同じ道を青年小屋まで戻る。ガスが切れないかと未練がましく振り返りながら下るが、阿弥陀岳がちらりと雲の間に見えただけ。花の写真を撮りながらぼちぼち下る。 |
ミヤマナデシコ |
イワオトギリ |
青年小屋で荷物を回収し、乙女の泉まで水汲みに行き、編笠山に向けて再出発。まずは小屋の南に広がる岩石地帯を岩に付けられた矢印を頼りに渡る。昨日、子ども達は岩を飛び渡りながら編笠から下りてきたが、身軽でない大人は 「よっこらせ」と一つ一つ登っていくしかない。 |
岩場を抜けると針葉樹林に入るが、やはり登山道は岩だらけ。これもぼちぼち登るとそれでも30分程で編笠の山頂に着いた。
編笠山の山頂は写真のとおり岩の散らばった開けたピーク。南の方は時々ガスが切れるが、背後の権現岳はだんだん雲が厚くなる。 |
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編笠山山頂 |
下りがこれまた大岩がごろごろした岩場。滑らないように気をつけながら下る。ペンキの矢印がないと、ルートを間違えそうな感じ。何組かのパーティが下から登ってくるが、このコースを登るのは大変そうだ。
岩場の下りで今度は Ta 君が脚を痛めてしまう。自分の歩幅で歩けない岩場は、筋肉や関節を痛めやすい。 |
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編笠からの下りの岩場 |
周りはシラビソやコメツガの針葉樹林で、岩や倒木にはびっしり苔がついている。まるで北八ツのような感じだ。
ここからはただ下るのみ。登りも単調な道だったが、下りも同じく単調な道。ボオッとして歩いていると、ときどきこける。 |
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北八ツのような苔の森 |
1800m付近にはオーバーハングした大岩があり、標識に消えかかった文字で「臼久保岩小屋」とある。
岩の下はじめじめしていて快適そうではないが、雨くらいはしのげそう。 富士見高原ゴルフ場入口近くの「鹿の湯」に浸かって汗を流して帰る。「あー、これで夏山も終わりだなあ。」 |
[山行日] | 2006/8/19(土)〜20(日) | |
[天気] | 19日 晴れ 20日 晴れのち曇り | |
[アプローチ] | 19日 中央自動車道 諏訪南I.C. →
富士見町役場前
→ 富士見高原ゴルフ場横 → 造林小屋前林道ゲート
[約13km] ・ゲートの前に10台ほどの駐車スペースあり。 |
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[コースタイム] | 19日 9:50 林道ゲート (0:40) 不動清水
(0:30) 2本目の林道 (1:15) 小広場 (0:40) 西岳 (0:45) 乙女の泉 (0:05) 青年小屋 15:20 (計3:55) 20日 6:30 青年小屋 (1:00) ギボシ (0:10) 権現岳 (1:10) 青年小屋 (0:30) 編笠山 (1:00) 2095m標高点 (0:50) 臼久保岩小屋 (0:30) 盃流し (0:30) 林道ゲート 14:45 (計5:40) |
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[地図] | 八ヶ岳西部 (1/25000) |
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[山小屋] | 青年小屋 ・1泊2食付 7800円。 ・飲み水は分けてもらえず、乙女の泉まで汲みに行かなければならない。平坦な道のり(片道5分)で苦にはならないが、雨の日はつらそう。 ・食事はまずまずだが、トイレが少々臭う。 |
[温泉] | 八峯苑・鹿の湯 TEL 0266-66-2131 ・入浴料500円。 ・浴室は広く、のんびり入浴。洗い場も多い。露天風呂あり。 ・シャンプー、石けん、ドライアーあり。 |