浜石岳( はまいしだけ)                                 [富士山周辺]   707m

 

 今年の歩き始めは「山歩会」に参加しての浜石岳。翌日の月曜日も休日なので、2日続けて同じコースが企画され、本日の参加者は6名。
 言いだしっぺの会長は急用のため明日の班に回って、リーダー不在の山行。おまけに台風並みに発達した低気圧のため風が非常に強く、日本海側は大雪になっているようだ。 先行きに若干不安はあるが、しかしまあ低山だし、静岡県の天気予報は晴れ。寒そうだけれどなんとかなるでしょう。

 青春18切符を使っての鈍行の旅なので、由比の駅に着いたのは10時半。時間節約のため、タクシーで山頂近くの青少年野外センターまで上がる。途中、林道を歩くいくつものパーティを追い越す。 時間が無いとはいえ楽をして申し訳ない気分。

 野外センターからは、林道歩きのコースと登山道を行くコースがあり、衆議の結果後者をとる。野外センターのトイレの前で右折し、山道に入る。山腹を行くと、右手に林道が近づいてくるが、それとは交わらず、左手に巻いて山頂から薩埵峠に向かう稜線に出る。
 まずは、山頂へ。何かの中継所の建物の横を抜け、わずかな登りであっけなく到着。楽すぎて達成感は無い。

浜石岳山頂
 
田子の浦に延びる海岸線
 

 楽しみにしていた富士山は雲の中で、見えるのは裾野だけ。右手には広々と駿河湾が広がり、眩しいくらいだが、左手の南アルプスの方角は空一面、灰色の雪雲に塗りつぶされている。時々山の方からの強い風に乗って雪のかけらが飛んでくる。山頂の展望図には南アルプスや 天子山塊、箱根の山々の名前が並んでいるが、ほとんど見えない。

 風に吹かれながら芝生の上で昼飯にするが、いかんせん寒い。そそくさと切り上げて薩埵峠へ向かう。 

山頂は気持ちのいい芝生が広がる
 

 先ほどの野外センターからの分岐付近では西の興津の方が見えたが、そこから先はずっと杉や桧の植林地でほとんど展望は無い。
 北のほうから雪雲が押し寄せてきて、陽は射しているのだが、雪が舞い始める。暖かい静岡で雪に会うとは思わなかった。
 

杉林に雪が舞う
 

  但沼への分岐のところで標識に従って左に直角に曲がり、小沢にかかる橋を渡る。薩埵峠への道は稜線の上をひたすら南下するだけなのだが、このあたりは地形が複雑で標識がないとどちらへ行っていいか分からない。

 西山寺への道を左に分けた先に、立花池への標識がありこれに従って西に下りる。細い幹が込み合った植林地を抜けて踏み跡を辿るが、道は左手に主稜線を見る支尾根を進んでいき、池にいく雰囲気ではない。地図で確かめると立花池は主稜線との間の谷にあるようなのだが、そちらに下りる道はない。 道は支尾根をたどって、どんどん下っていってしまう。 どうもこれは立花の集落へ下りる道のようだ。かなり下ってしまったが、皆で相談の結果引き返すことにする。戻る途中で池へ続くと思われる踏み跡があったが、標識がないので確信が持てず、稜線の道まで戻った。 稜線の標識を確かめるとやはり立花池へと書いてある。ちょっとこの標識は不親切だ。結局1時間ロスしてしまった。
 

 15分ほど行くと再び同じ立花池への標識が現れた。ガイドブックにある立花池への分岐の位置と合うので、これが正しい道だろう。池まで往復15分程らしいが、もう誰も行こうとは言い出さず、そのまま素通りする。

 そこから先もいくつかアップダウンを繰り返すが、承元寺への分岐を左に見送ってからは下りがちになり、尾根が細くなってくる。
 

送電線の切り開きから清水港が見える
 

 
 突然、木立の切れ目から富士が姿を見せた。池を探してうろついている間に随分青空が広がり、雲を纏いながらも、富士山は富士山の形に見えるようになっていた。
 やっぱり富士山はいいなあ、と誰彼なしにつぶやく。

木立の間から富士が見える
 

 標識に導かれて稜線をはずれると、みかん畑の中を下るようになる。登山道というより、畑の作業道といった感じだ。みかん運搬用の小さなモノレールの軌道が張り巡らされているが、急な斜面に垂直に設置されていて、いくら歯車が付いているとはいえ、こんな急なところを登れるのかと驚いてしまう。

みかんの向こうに伊豆半島
 
みかん畑の中を薩埵峠に向かう
 

 みかん畑の中を横切る舗装道路に出ても、まだ急斜面の下にみかん畑が続いている。斜面の下には東名高速と国道1号、東海道本線がへばりついている。
 薩埵峠へは舗装道路を南に向かう。左手は青い駿河湾で伊豆半島がくっきり見える。

 薩埵峠には車道が通じていて、20台ほど止められる駐車場には車があふれていた。みかんを売る屋台も出ている。
 ここからも富士は見えるが、150mほど遊歩道を進むと展望台があって、ここが有名な富士の撮影ポイント。カメラマンが何人かいて、三脚を立てて富士を狙っている。Su さんが聞いた話では夕日に染まる赤富士を待っているらしい。

 富士山にはまだ雲が掛かっているが、だんだん薄くなってきているようだ。冬の陽は既に傾きを増していて、下の道路は 夕闇に沈み始めている。強風にあおられた波が、海に突き出した高速道路の橋脚に打ち寄せている。

薩埵峠展望台からの富士
 

  薩埵峠からは狭い車道を歩いて由比の町に下りる。旧東海道の雰囲気を残すと言われる由比の街並みだが、既に暗くなり始めていて、ただの古びた家並みに見える。富士が染まるのは4時半頃と聞いたSuさんは、家並みの間からわずかに見える富士山を何度も見上げる。

 朝から楽しみにしていた桜海老のかき揚げを求めていくつかの店を覗くが、時間帯が悪くどこも準備中。しかし、由比の駅前の食堂は営業していて、やっと桜海老定食にありつけた。かき揚げは彩りのわずかなネギ以外はすべて桜海老の塊で、さくさくしていて、ついついビールがすすむおいしさ。定食にはかき揚げの他に桜海老の釜揚げと佃煮がついている。
 下りが主体の山歩きだったけれど、長い尾根道を延々と歩き、山頂の昼食とは違って十分充実感のある打ち上げでありました。


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[山行日] 2007/1/7(日) 
[天気] 晴れ時々小雪
[アプローチ] JR岡崎 7:46 →(特別快速)→ 8:40 浜松 8:47 →(普通)→ 10:30 由比→(タクシー)→青少年野外センター
[コースタイム] 10:50 青少年野外センター (0:30) 浜石岳山頂 (0:35) 但沼分岐 (0:15) 西山寺分岐  《立花池へ向かうが見つけられず1:00》  西山寺分岐 (0:15) 立花池分岐 (0:30) 承元寺分岐 (0:30) 車道に出る (0:15) 薩埵峠 (1:00) 由比駅 16:30     (計3:50)
[ガイドブック] 新・分県登山ガイド21「静岡県の山」(山と渓谷社)
[地図] 蒲原、興津(1/25000)


   
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