本宮山( ほんぐうさん)                      [愛知県・三河]   789m

 

 本宿からのバスを終点の「くらがり渓谷」で降りる。寒い。ザックに付けた温度計は4℃あたりを指している。

 渓谷沿いの道は車道で趣はないが、一般車の通行は制限されているようだ。本宮山ロッジ、鱒釣り場、キャンプ場などを過ぎるともう施設はなくなり、淡々と流れに沿って登っていく。

 渓谷の木々は葉を落としているものの、渓谷自体が深いので陽が射さない。夏には涼を誘う流れも今は寒々としている。鳥の鳴き声すらなく、静まり返っている。

 鹿鳴橋で一休みしていると3、40人もいそうな団体さんが登ってくる。騒がしさに巻き込まれないよう、先を急ぐ。

 車道を離れ、尾根沿いのコンクリートで固められた歩道を一登りすると、本宮山スカイラインの駐車場に出た。最後の登りは団体さんに抜かれないように頑張ったので息が切れてしまった。

 

くらがり渓谷・おきな淵
 
 スカイラインを横切り、山頂を目指して売店のそばの歩道を登る。周りはアゼビの林で林床にカヤクグリの群れを見つけた。カヤクグリは高山に棲む小鳥だが、冬は低い山にも下りてきている。

 山頂一体はアンテナだらけ。名古屋からの電波を中継して、東三河に送るには絶好の場所らしい。
 展望もあまり利かないし、腰を落ち着ける場所もないので砥鹿神社の奥宮に向かう。

アンテナが林立する山頂
 
巨大な鳥居 砥鹿神社奥宮

 大きな赤い鳥居の手前に東屋があったので、そのそばでカップヌードルをつくる。東屋の中よりも日のあたる外の方が暖かい。豊川を見下ろしながら、陽だまりでのんびりランチ。

 砥鹿神社は三河の国の一の宮で一宮町の街なかにあるが、本宮山の頂上にあるのはその奥宮。立派な社務所もあり、天気の悪いときには心強い。
 境内には杉の大木が多く、社務所のそばに御神木の巨木がある。
 天気がよければここから富士が見えるそうだが、今日は雲の中。もっといい天気になると思っていたのだが、寒気が下りて来ているせいか意外に雲が多くて残念。
 

御神木の大杉 表登山道は杉の森の中を下る
 
 神社にお参りをして、拝殿の正面の石段を一宮町側に下る。周りはすばらしい杉の森だ。さすがにこちらは砥鹿神社の参道だけあって神聖な感じがする。

 岩の出た急な登山道を下っていくと、下からどんどん人が登ってくる。この頃よく見かける熟年のグループも多いが、夫婦連れや一人で歩いている人も多い。子供連れの人もいる。あまりにも人が多いので何かイベントでもやっているのかと登ってくる初老の男性に尋ねたら、
「いつもこのくらいは登ってる。今日は少ないくらいだ。」とのこと。毎日登っている人もいるらしい。

 麓の登山口のそばにはウォーキングセンターなる建物があって休憩所やトイレがあった。建物周りの駐車場は車でいっぱいだ。
 町をあげて健康登山に励んでいるようで、こんな形で郷土に親しみを持つのはいいことだと思う。しかし、もう少し自然にも関心をもって歩いた方がいいんじゃないかと思われる人もいた。ラジオを流しながらでは鳥の鳴き声も聞こえないだろうし、他の人にも迷惑だよ。

 

 飯田線の長山駅へは舗装道路をまっすぐ下っていけばいいのだが、本宮山を眺めたくて右に折れて田んぼの道を行く。振り返ると段丘崖の樹林の上に三角形の山の姿が望める。

 と、南の方から雲が山腹にかかり、山肌に白くベールがかかっていく。それが見る見るこちらに近づいてきて突風とともにみぞれが降りかかってきた。雪雲だったのだ。

 木陰で雨宿りをしていたら、すぐにみぞれは時雨にかわり、雨脚も弱くなった。駅までそんに遠くないので濡れるのも気にせずに歩 きだす。まだまだ冬の空模様だが、道沿いには梅の花も咲いていた。

本宮山にかかった雪雲が流れてくる

アイコンをクリックするとマップがでます。


[山行日] 1999/2/20(土) 
[天気] 晴時々曇り一時小雪
[アプローチ] 名鉄東岡崎 7:39→(急行)→7:48 本宿 8:03→(名鉄バス)→8:40  くらがり渓谷
[帰り道] JR飯田線 長山駅 14:49→(普通)→15:09 豊橋 15:15→(新快速)→15:35 岡崎 
[コースタイム] くらがり渓谷 (1:20) 鹿鳴橋 (0:30) 本宮山三角点 (0:10) 砥鹿神社奥宮 (0:40) 馬ノ背展望台 (0:55) ウォーキングセンター (0:25) JR長山駅    (計4:00)
[地図] 高里、新城(1/25000)
[ガイドブック] 分県登山ガイド 「愛知県の山」 山と渓谷社


   
inserted by FC2 system