虚空蔵山( こくぞうさん)                      [兵庫県・丹波]   592m

 

 丹波篠山は六古窯の一つ、丹波焼のふるさと。窯元巡りと合わせて、丹波の山を一山登ることにした。

 多紀アルプスの岩峰鋭い三尾山が第一候補だったが、時間の関係で、焼き物の里である「立杭(たちくい)」から登れる虚空蔵山にした。虚空蔵山は播磨から丹波への入り口にある山で、平野と山地の境に位置し、山頂からの眺めがいいらしい。
 初めての山域で見たこともない山だったが、舞鶴自動車道の三田西
ICあたりからの虚空蔵山は、富士山のような美しい形をしていた。「いい山じゃないか。」

上立杭から見上げる虚空蔵山。こちらからは富士山には見えない。

  篠山市内の宿から立杭の「陶の郷(すえのさと)」に向かう。「陶の郷」の入り口にある駐車場は入園料を取られるので、下の田んぼの横の駐車場に止めた。
 「陶の郷」の横の「集芸館」というギャラリーの前に虚空蔵山の小さな標識があったので、「陶の郷」の外周の柵に沿って登っていったらバンガローの前に出た。ここが登山口のようだ。
 バンガロー村の中に案内図があって、それを見ると、ガイドブックに載っている道の他に山頂から直接延びる尾根に取り付く道があるらしい。ガイドブックの道は自然遊歩道としてあり、どちらも1.2km50分と書いてある。


  ちょうどやってきた地元の人らしい男性に聞くと、自然遊歩道は階段が整備してあって下りにとるといい、と言う。その男性も今から登るということだったので、後について登山道の方から登ることにした。

ヤママユ
  登山道はしばらくアカマツの山腹を巻きながら北へ向かい、右に折れて小さな尾根を上がるようになる。
 周りはアカマツ、リョウブ、コナラ、ソヨゴなど、西三河の山と同じような植生だ。西三河の方は製塩で、このあたりは焼き物のために何度も木が切られて、同じように山が痩せているのだろう。登山道のそばにテープの付いた切り株があるのは、先ほどの男性の話では森林組合が刈り払いをやっているからだそうだ。

 所々、林間から立杭の集落が見下ろされ、斜面に沿った登り窯の長い屋根や立ち上る煙が「焼き物の里」を感じさせる。

立杭の集落を見下ろす。背後の山は上山。

 

  隣の尾根に続く巻き道を見送って、なおも尾根を直登する。道は小さな岩屑が散らばり、踏み跡がはっきりしないところもあるが、テープがあちこちにあって迷うこともない。所々木の枝をつかんで登るような急なところもある。

  高圧鉄塔の下をくぐると傾斜は緩くなるが、刈り払いがなくなって踏み跡は一段と細くなる。林の中に大岩が目立つようになるとじきに山頂だった。

 

岩屑の斜面をテープに導かれて登る
 

  山頂は意外に狭く、大岩が露出している。期待した展望は北の方角が木で遮られているために360°とはいかず、しかも天気が良すぎてもやっている。南方だけは平野のようだが、その他はぼんやりした山並みが波のようの続いている。残念ながら手元に地図がないので名前の分かる山はひとつもない。登りたかった三尾山もどれだか分からない。

  山頂にはいっしょに登ってきた男性の他に中年のカップルが一組。カップルの男性のほうは無線で誰かとしゃべっていて、女性のほうは手持ち無沙汰の様子だった。南の尾根から何組かグループが登ってきたので下山することにする。ここも中高年のグループが多い。

 

虚空蔵山山頂 丹波岩

 

  下りは自然遊歩道を下る。頂上のすぐ南に丹波岩と呼ばれる岩頭があって、ここからの眺めの方がいい。


  南に伸びる尾根をたどると藍本駅への道を左に分ける。道標には焼き物の里らしく、陶器製の地名プレートが架かっていた。
 このあたりから、高圧鉄塔の巡視路に良く使われている、プラスチック製の階段が設置されている。こちらは遊歩道というだけあって、整備がされ過ぎている感じだ。

板状の節理の入った岩が多い
 
  鞍部に着くと右手の斜面を「陶の郷」に向かって下る。周りは杉の植林地になり薄暗い。階段が延々と続く。植林地を抜けるとじきにバンガローが現れた。
 「陶の郷」は昨日見学したので、入園料を取られないように園内を通らず、コンクリート舗装の管理用通路を通って外の車道に出た。道路の反対側には「陶の郷」の無料駐車場があった。ここに止めた方がが近かった。

 

  後日知った事だが、同じ日に名古屋のアーリィバードさんも雲海を求めてこの山に登っていた。しかも同じように立杭からだ。僕らが登るころにはすでに下山していたようだが、遠く丹波の地で思わぬニアミスであった。アーリィバードさんの記録はこちらから。

アイコンをクリックするとマップがでます。 <藍本(1/25000)>


[山行日] 2002/12/15(日) 
[天気] 晴れ
[アプローチ] 舞鶴自動車道 三田西I.C. →(県道)→ 立杭  [約10km]
「陶の郷」の無料駐車場が利用できる
[コースタイム] 立杭「陶の郷」 (0:05) バンガロー村案内板 (1:00) 虚空蔵山山頂 (0:40) 立杭「陶の郷」    (計1:45)
[ガイドブック] 「大阪周辺の山250」 山と渓谷社

 

[寄り道] 丹波伝統工芸公園「立杭陶の郷」 
・篠山市今田町上立杭
・入園料 200円
・古丹波の名品を展示する伝統産業会館や立杭焼の各窯元の製品を展示販売する観光物産センターなどがある。
・隣接するギャラリー「集芸館」のカレーはとても辛いけれどおいしい。(日曜・祝日のみ)
[宿] ペンション 「丹波花の木」 tel 0795-52-5100
・篠山市新庄1263-1
・地元の食材を使ったフレンチのコース料理がおいしい。
・部屋の窓からは盆地を囲む山々と田んぼが広がる。
・部屋のユニットバスが狭いのが難点だが、王地山公園の「ささやま荘」の温泉まで送迎がある。

   
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