御嶽・継子岳( おんたけ・ままこだけ) [木曽] 2859m |
梅雨は明けたが、北の方は天気が安定せず、第一候補の白山・三の峰は雲が多そう。第二候補の中ア・三ノ沢岳はロープウエイの混雑が予想されて、いまいち気分が沸かない。ということで、第三候補の御嶽・継子岳へ向かう。 |
チャオスキー場の駐車場の車の中で目覚めたときには、あたりは一面のガス。上空に冷たい空気が入ってきて、大気が不安定になっている、という予報だったので、上天気は期待していなかったが、朝からガスとはちょっと予想外で元気がなくなる。 カップヌードルをかき込んで、6時半の定刻より早めに動き始めたゴンドラに向かう。同じような車中泊の登山者が三々五々集まってくるが、行列が出来るほどではない。
ガスのために展望が利かず、ただ、下を流れていくゲレンデを眺めるだけ。ここは針葉樹の森を切り開いてつくられたスキー場だが、なぜか荒涼とした感じがする。普通、夏のスキー場というとゲレンデに一面に草が生えているのだが、ここのはゲレンデを
枯れ木の破片が覆っている。風雨に晒されて皆白くなっていて、伐られた森の骨が散らばっているように見える。 |
10分程で、ゴンドラの山頂駅。ゲレンデを横切り、標識に導かれて針葉樹の森の中に入る。シラビソ、コメツガ、トウヒなどの原生林で地面は苔むしていて、深い森の感じがする。
道は斜面を巻きながら、少しずつ高度を上げていく。所々木道もあるが、木の根が張り出し、岩も多くて歩きにくい道だ。岩の隙間やぬかるみに木が埋めてあるのだが、それがまた滑りやすくて気が抜けない。何度もこけそうになる。 |
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カニコウモリが群生している |
初めはマイペースで歩いていたが、しだいにゴンドラで上がってきた他のグループの間に入ってしまい、立ち止まることもできず、否応なしに歩かされるはめになった。日和田からの登山道の合流点でやっと列から離脱できてほっとする。 ここからはまた一段と道が険しくなった。岩が多くよじ登るような感じのところもある。樹木の丈がだんだん低くなってきたが、幸い、ガスで陽射しが遮られ、暑さはない。 |
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バイケイソウのアップ |
しかし、ガレた沢沿いを登るようになったあたりで、妙に胸が苦しくなってきた。確かに道は急な斜面を直登するような険しさだし、まともな山登りは4月の野伏ヶ岳以来なので体がなまっていることは否定できないのだが、それにしても動悸が激しい。ドクンドクンと心臓の鼓動が喉を突き上げる。久しぶりの2,500m超の標高のためか、それとも夏バテのためか
、理由がはっきり分からないので余計に不安になる。 前後して歩いていたグループは皆、先に行ってしまった。少し登っては立ち止まり、鼓動を静めてからまた歩き始める。それの繰り返し。斜面は長 く、はるか上まで続いている。久々の山なのでゴンドラの使えるコースを選んだのだが、こんなに苦労するとは思わなかった。
登山道の周りにモミジカラマツやヨツバシオガマなどの高山植物が見え始めたので、あきらめて花を撮りながら息を整えつつ登ることにした。まあ、このくらいのペースが自分向きなのだろう。時間はあるのであせらずに行くことにする。 |
ガスが切れ始め、広い裾野が見え始めた頃、道は岩尾根状になり、濁河方面の斜面が右手に広がった。岩の間にはコマクサが咲いている。 継子岳はコマクサでちょっと有名だが、もう盛りは過ぎた感じで少々花が疲れている。一登りで三角点のある山頂に着く。 |
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山頂間近 |
山頂は思ったよりも広くて、取り留めのないところだ。視界は悪く、眼下に広がる四ノ池もガスが流れてなかなか全貌が見えない。摩利支天にも登るつもりだったが、登っても何も見えないだろうし、予想外に登りで疲れてしまったので四
ノ池を一回りするだけに予定を変える。 どちら回りにしようか迷ったが、ゴンドラ乗り場でもらった地図を見ると、池の東側の道は急で踏み跡がはっきりしないようだ。動悸がひどい状態で最後の登りを迎えるのは苦しいので、先にそちらから下ることにする。 |
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山頂付近のコマクサ |
砂礫の広い尾根をたどり、岩のピークから急な下りになる。ザレた斜面で踏み跡は分かりにくい。
ガスが切れると四ノ池が見渡せる。池と名前がついているが水面はなくて湿地が広がっている。以前は隣の三
ノ池と同じような火口湖だったのだが、縁が切れて水が流れ出てしまったのだろう。 |
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四ノ池俯瞰。左側から水が流れ出している |
傾斜が緩くなると、池の流れ口の小川に出る。意外に水量が多い。石を選んで飛び渡る。小川の周りは草地になっていて花も多い。流れの向こうは火口壁が立ち塞がり視界を遮っている。カールの底のような感じで、天気が良ければさぞ気分のいい所だろう。 一休みしてバナナをほおばる。ぐるりと巻いては行くものの、飛騨頂上は火口壁の上なので、エネルギー補給をしないと登れそうもない。 |
四ノ池底の小川 |
ヨツバシオガマ |
しかし、道端にはアオノツガザクラ、オンタデ、ミヤマキンバイなど花が多いし、開田道と合流した後は三ノ池も見下ろせるために、気がまぎれて楽に飛騨頂上まで登ってしまった。
飛騨頂上はかなりの人出。御岳最高峰の剣ヶ峰まで登るとなると、やはり継子岳を越えるよりも、濁河温泉からのルートになるのだろう。五ノ池小屋の周りや小屋裏の祠の近くには休憩しているグループが多い。 |
パンとおにぎりの簡単な食事を済ませて、継子岳に戻る。途中、コマクサの群落地があったが、ここもやはりピークは過ぎた感じで、アップに耐えられる個体は見つけられない。 右側は四ノ池の火口壁が落ち込んでいて険しい感じはするが、登山道自体の傾斜は緩やかで、岩の間を縫ってノンビリ登る。 ゆっくり登れば胸も痛くない。こちらを登りにして良かった。 |
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摩利支天山。手前はコマクサ群落地 |
30分ほどで継子岳の山頂に戻ってきた。一休み、と腰を下ろした途端に、遠くから雷鳴が聞こえた。正午近くになったので、雷タイムでもおかしくない。展望も利かないので、すぐに腰を上げて下山にかかる。
途中の見晴岩あたりでは、ガスが晴れて山麓の様子が見えた。意外に開田高原のマイヤスキー場が近い。開田からも古くからの登山道があるが、今でも登る人があるのかは分からない。スキー場を使って以前よりも楽に登れるようになっているのかもしれない。
登りにくかった登山道は下りも歩きにくい。いやになったころ、やっとゴンドラの山頂駅に到着。雨はまだ落ちてきていないが、雷鳴はかなり近くなってきた。 何とか下まで着いて、ほっと一息。じきに運転見合わせのアナウンスがされて、ゴンドラは止まってしまった。それを待っていたかのように大粒の雨が降り出した。僕の後にも何組か下山者がいたのだけれど、結果的にゴンドラを止めてしまったようで、申し訳ない感じだ。
雨の中を開田高原の温泉まで移動して、汗を流す。まだ遠くで雷鳴が轟き、時折にわか雨も落ちてくるが、全体に空は明るくなってきた。露天風呂からは逆光に黒く沈んだ御岳の全体が見渡せる。右端には継子岳が日和田富士の名に恥じない優雅な裾野を広げていて、さっきまであの山頂にいたのだと感慨もひとしお。茶色い湯に体を沈めて、意外にしんどかった山行を反芻して満足感にひたる。 |
[山行日] | 2004/7/25(日) | |
[天気] | 曇り | |
[アプローチ] | 24日(土) 中央自動車道中津川I.C. →(R19)→
木曽福島 →(R360)→ 日和田高原 →(県道)→
チャオ御岳リゾート [約105km] ・大駐車場あり。駐車料無料。 25日(日) ゴンドラ「フライングチャオ」 山麓駅(10分)山頂駅 http://www.ciao.co.jp/index.html ・HPから割引券をダウンロードできる。(往復券のみ2000円→1600円) |
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[コースタイム] | 6:40 ゴンドラ山頂駅 (0:45) 継子岳登山道分岐 (1:15) 見晴岩 (0:35) 継子岳山頂 (0:30) 四の池 (0:35) 飛騨頂上 (0:30) 継子岳山頂 (0:30) 見晴岩 (0:30) 継子岳登山道分岐 (0:45) ゴンドラ山頂駅 13:45 (計5:55) | |
[地図] | 胡桃島、御嶽山(1/25000) |
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[温泉] |
御嶽明神温泉「やまゆり荘」
TEL 0264-44-2346 ・開田高原マイヤスキー場方面。開田村大字西野6321-1211 ・入浴料600円。 ・露天風呂は広く、御嶽山の全貌が眺められる。 ・石けん、シャンプー、ドライアーあり。 ・赤茶色〜黄土色のお湯。 ・火曜定休(但し祝日営業)。営業時間9:00〜21:00。 |