三池岳( みいけだけ)                        [鈴鹿]   972m

 

 今年度始めに「山歩き復活宣言」をしたものの、8月に南八ツの権現岳に登ってから、4ヶ月も山からご無沙汰している。休日出勤の代休が取れたので、どこに行こうか検討したが、すっかり足もなまってしまい、きつい山歩きは少々不安。しかし、あまり楽な歩きでは、ちょっと満足できそうもない。
 そこで、鈴鹿の中でも短時間でも登れそうな三池岳に行くことにした。

 三池岳は釈迦ヶ岳の北にあるピーク。セブンマウンテンより少々低く、知名度も低い。
 四日市東ICから西に走って、山麓の田光の集落から狭い道を八風谷の奥へ進む。八風キャンプ場を過ぎ、右にクレー射撃場の入口を見送ると、すぐに車止めがあった。車を置いて林道を歩き出す。

山麓の田光のため池からの三池岳(下山後撮影)
 

 林道は3m程の幅があるが、かなり荒れている。車止めがなくても、車を乗り入れるのは難しそうだ。傾斜もかなりある。谷川の流れに沿って登っていくと、次々に砂防ダムが現れる。今歩いているのは林道ではなく、ダムを造った時の作業道の跡のようだ。

 林道が途切れて沢に下りると、土砂に埋まった砂防ダムの上に出る。細い流れを、飛び石をつたって渡る。右岸沿いになおも谷道を登ると右手に三池岳らしいピークが見えてくる。
 再度、左岸に渡り返すと道は谷を離れて山腹を登っていく。少し歩くと標識が現れ、左は中峠、右は八風峠とある。

 八風峠への道は山腹をゆるゆると登っていく。少し行くと岩の下に三体の地蔵があった。ここまでは「織田信長も通った歴史のある道」という感じは全くなかったが、ようやく 古道らしさが感じられる。

 周りの木々はすっかり葉を落としていて、わずかにタカノツメが黄色い葉を残しているくらい。 タカノツメの落ち葉は甘い匂いがするということを最近知った。意識してみれば、一面に散り敷いた落ち葉から、甘い匂いが漂っているところもある。

坂中地蔵
 

 稜線近くなると昨日降ったものだろうか、日陰に薄っすらと雪が残っている。 周りはつつじが多くなってくる。アカヤシオなのか、シロヤシオなのか、はたまた違うつつじなのか分からないけれど、花の季節はさぞいい眺めだろう。
 

つつじの林
 
八風峠。右手の山肌がはげた所が三池の山頂。左手奥は竜ヶ岳。
 

  登りついた八風峠は明るく開けた気分のいい所。八風大明神の石碑の周りは風を避ける木もあって、ちょっと早いがここで昼食にする。
 コンロを出してアルミの鍋入りのうどんを温める。どうも重いと思ったら、最近の鍋入りのうどんはスープも一緒に凍っていて、水を入れる必要がなかった。せっかく最後の流れで水を汲んできたのに、無駄なものを運んでしまった。

 ウィークデイだし、あまり知られていない山なのでまさか登山者がいるとは思わなかったが、うどんを温めている時に、男性の2人組みが登ってきた。
 そのうちの一人は饒舌で、これから八風谷に下ること、今夜は車に泊まることなど誰に話すともなしにしゃべっている。そのうち、僕のコンロを見て、キャンピングガスはボンベが手に入らないでしょう、イワタニに変えたほうがいいですよ。とかウールの山ズボンをはいている人を久しぶりに見ましたとか、言いたいことを言ってくる。
 使えるものは使えるだけ使うというのが僕のやり方で、余計なお世話だと言いたかったが、気分が悪くなるので黙っていた。自分の価値観を押し付けるのはお節介というのだよ。
 

三池岳手前から振り返ると割岳がなかなかカッコいい 三池岳山頂
 

 八風峠からはいくつかコブを越えなければならないけれど、三池岳の山頂まではそんなに時間はかからなかった。山頂からは北方の竜ヶ岳や養老山地の方が良く見える。 主稜線上のピークが一応、三池岳の山頂になっているが、三角点は少し先のピークにある。
 三角点は登山道の真ん中にあって、見落とすことはないけれど、広場も展望もなくてあまり山頂らしくない。僕も三角点を踏んだだけで通り過ぎる。
 

 三池岳の名前の元になったお菊池へは稜線をそのまま東へ進む。山頂の直ぐ近くかと思っていたが、少しヤブっぽいところを抜け、ガレ場の縁を通り、かなり下ったところにあった。

 お菊池は直径5mくらいの浅い池。周りのブナやカエデを映して静かなところだ。三池岳は池が三っつあったのではなくて、御池なんだろう。ここも夜叉ヶ池などの山上の池と同じように雨乞い信仰の対象となり、尊称されて御池と呼ばれたと思われる。
 

周りの木々を映すお菊池
 

 ここは通り過ぎてしまうには少しもったいないので、池の端に腰を下ろし、コーヒーを入れる。耳をすまして木々のざわめきを楽しみ、そして、その木々を映す池を覗き込む。
 この池はいつもこのように水をためているのだろう か。花ももみじもないけれど、この池は今の季節が一番のように思えてくる。

 一休みしたので、さあ、下りにかかろう。池の直ぐ先に標識があり、射撃場と書かれた右手に下る。ここからはかなり急な道。一部にロープも垂らしてある。ひたすら展望のない道を下る。

 地図の等高線が緩くなったあたりで左手に平らなところが見えたので、落ち葉に埋もれた小谷を下ってみる。谷の源頭が浅くくぼんだ広場のようになっていた。ちょっとした別天地。もう少し木が少ないと、もっと明るくいい感じのところになるだろう。

落ち葉に埋もれた谷
 

  ルートに戻ると射撃場が近いので注意という看板が立っている。何にどう注意すればいいのだろう。飛んでくる弾や砕けたクレーがよけられるはずもなく、注意するのは撃つ方だろうにと思う。
 看板から右手の植林地の山腹を、トラバース気味にしばらく下ると林道に出た。林道の先がすぐにその射撃場だった。簡単に跨げそうな立ち入り禁止のロープ柵を横目で見て、 仰せのとおり充分注意しながら歩いたが、今日は射撃場は休みだった。

 湯の山温泉まで足を延ばし、温泉に浸かる。露天風呂で広々とした展望を眺めながら、久しぶりの山歩きを反芻する。空いている湯船で平日休みのありがたさをしみじみと味わった。


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[山行日] 2006/12/6(水) 
[天気] 晴れ
[アプローチ] 東名阪 四日市東I.C. →(県道)→ 田光 → 登山口  [約16km]

・八風射撃場の入口を右に見てやや進んだところに林道のゲートがある。その前に数台の駐車スペース。
[コースタイム] 9:40 登山口 (0:30) 堰堤下で沢を渡る (0:25) 中峠分岐 (0:40) 八風峠 (0:15) 三池岳山頂 (0:05) 三角点 (0:10) お菊池 (0:45) 落ち葉の谷 (0:10) 林道 (0:05) 登山口 13:45     (計3:05)
[地図] 御在所山(1/25000)

 

[温泉] 湯の山 絵野温泉「希望荘」
・三重郡菰野町湯の山、鈴鹿スカイライン入口。
・三重県勤労者福祉センターの風呂。温泉はローリーで運ばれているらしい。
・エレベーターで4階に上がったところに、温泉の受付がある。
・入浴料500円(貸しタオル付き)
・露天風呂は展望抜群。伊勢平野から、伊勢湾が見下ろせる。
・シャンプー、石けん、ドライアーあり。


   
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