沢山( みなみさわやま)1564m横川山(よこかわやま)1620m            [中ア・南部] 

 

 前夜になって、急に予定が空いてしまった。 どうも天気は心配なさそうだ。どこへ行こうか迷ったが、急なことだし、近場で展望が良さそうな富士見台の北にある南沢山、横川山に行くことにした。

 清内路村の ふるさと自然園の園内に入り、しばらく車を進めると、真っ直ぐは「沢コース」、左は「尾根コース」の標識が立っている。尾根コースから登ることにして、左に曲がり橋を渡ってすぐ 右手の駐車場に車を止める。駐車場には登山者は有料の旨の看板が立っているが、早く登りたいので料金は帰りにしよう、と出発する。

  車道を奥に進むと右手のキャンプ場の入口に登山口の標識がある。踏み跡がそばにあるが、まさかこんな道ではなかろうと、キャンプ場の奥まで進むと、山に入っていく丸太階段があった。ヒノキの枝打ちをしている人がいたので、挨拶をしてその横を登り始める。と、作業をしている人が、「こっちよりも向こうの方が刈り払いがしてある」と教えてくれ た。どうやら先ほどの踏み跡の方が正解のようだ。戻って、そちらをたどるとすぐに山道らしくなった。あやうく道を間違えるところだった。作業員さんありがとう。

ベニマンサクの花 葉っぱの先っぽだけ秋 (ベニマンサクの紅葉)


  道は尾根の上を登っていく。右側はヒノキの植林地。左側は落葉樹の自然林になっている。どちらもよく成長していて、尾根道にもかかわらず緑のトンネル状で、展望はない。
 低木に丸い葉っぱの木が目立つ。ベニマンサクかな、と思ってよく見ると、1cmくらいの小さな赤いヒトデのような花が見つかった。この木は秋に花が咲くので、紅葉と花が一緒に見られる珍しい木だ。そう言えば最初にベニマンサクを見たのも、この近くの飯田の風越山で、季節も確か今頃だった。

 尾根道は緩やかで、息も切れず登りやすい。右から道が上がってきて合流した先には、「中間点まで1km」の標識がある。時々ミズナラやブナやヒノキの大木があって、展望はないが樹木好きには楽しい尾根歩きだ。

 前方で人の声がする。今日はまだ他の登山者に会ってなかったが、下の駐車場に名古屋ナンバーの車があったので、その人達だろうか。近づくにつれて声がはっきしてたが、どうも道からはずれた笹薮の中で 聞こえる。道の脇にピンク色のテープが下がっていて、何人かの声で86とか127とか聞こえるので測量でもしているのだろう。「ぺヤングソース焼そば、ぺヤングソース焼そば」と繰り返されたのは、何か測量屋さんの符丁だろうか?

 中間地点の標識を過ぎると1414mのピークで、その先で一旦下る。下りきったところに右から沢ルートが上がってきている。まわりはカラマツの植林地だ。ベンチに腰を下ろして一休み。異様に静かで、耳を澄まして意識的に音を拾っても、時々遠くから鳥の声がかすかに流れて来るのと、風が梢を渡る音くらいしか耳に届かない。
 

根上がりのヒノキ 道の脇の巨石


 ここからは少し登って巻き道になる。巨岩や根上がりのヒノキや湿地状になったところなど変化はあるが、道自体はただ平らに巻いている。いい加減に飽きてきた頃に、周りの木の丈が低くなって笹原に飛び出す。
 左手にやっと展望が開け、笹に覆われた富士見台が逆光に光っている。その手前が横川山だろう。背後の恵那山はもやに煙っている。

 その先の南沢山は全く山頂らしくなく、標識がなければとても山頂とは思えない。ベンチはあるし腹も減ってきたが 、だんだん展望が利かなくなってきたので横川山まで行くことにする。
 笹原にカラマツが混じった高原のような気持ちの良い尾根を進む。途中、中年の夫婦連れと二組すれ違った。今日始めて出合った登山者だ。

横川山(南沢山山頂付近から)

  最低鞍部からガレの横を過ぎ、ひと登りで横川山の山頂に着いた。三角点の石柱の横に読めなくなった山名板があるだけのさっぱりした山頂だ。残念ながら御岳はほとんど雲の中。中央アルプスも駒ヶ岳のあたりは見えるが、空木と南駒は雲の中だ。近いので南木曽岳は良く見えるが、こちらよりも低くみえるのは不思議だ。東側の雲の上の思った以上の高さに、南アルプスのピークがシルエットで覗いている。

横川山山頂から南木曽岳(左)、中央アルプス(奥)
 

  ここにもベンチがあったので、昼飯にする。日陰はないが風が涼しくて気持ちがいい。カップヌードルを作っていると、富士見台の方から単独の男性がやってきた。ベンチを勧めて、情報交換。富士見台の山頂にいる頃は御岳が良く見えたそうで、残念だ。
 


 富士見台から1時間半で来たそうだ。ここからは富士見台の斜面の笹原に付いた登山道が良く見える。帰りがしんどそうだが、1時間半ならふるさと村から登ってくるよりもいいかもしれない。

富士見台(横川山山頂から)
 

 南沢山の方から大きな犬連れの夫婦が、富士見台から中年4人組の女性が登ってきて賑やかになる。下山しようとしたときに、お昼を始めた女性組からミョウガの漬物をいただく。甘酸っぱくておいしい。後味を楽しみながら笹原を下る。

 南沢山、巻き道を戻り、分岐から沢コースを下る。沢沿いの暗い植林地を下りきると水流の多い沢に出る。沢は小滝を懸けながら落ちており、沢の奥のほうには大きな砂防堰堤がある。

 ここからは流れと絡みながら下る。丸太の橋が架かっているところもあるが、石飛で渡らなければならないところも多く、大雨の後は避けたほうが良さそうだ。

沢に出る。左の小さな流れが降りてきた登山道。
 

 堰堤を桟道で越えると、砂防工事用の作業道に出るが、路面がざっくり抉り取られていて、車道の体をなしていない。
 なおも下るとふるさと村の園路に出て、管理事務所の森の家の前を過ぎると、車を止めた駐車場に帰り着けた。

  帯状疱疹の後、初めての山らしい山歩きだったので少々心配だったが、これだけ歩ければほとんど大丈夫だろう。満足して温泉に向かう。
 

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[山行日] 2003/9/27(土) 
[天気] 晴れ
[アプローチ] 中央自動車道 園原I.C. (県道)→ 昼神 →(R256)→ ふるさと村自然園    [約15km]
・ふるさと村自然園内には駐車場がいくつかあるが、登山者は有料。(500円)
 
[コースタイム] ふるさと村自然園 (1:05) 中間地点 (0:05) 沢コース分岐 (0:40) 南沢山山頂 (0:30) 横川山山頂 (0:25) 南沢山山頂 (0:30) 沢コース分岐  (0:50) ふるさと村自然園    (計4:05)
[地図] 兀岳、伊奈駒場(1/25000)

 

[ガイドブック] マイカー登山ベストコース「名古屋周辺」 山と渓谷社
・尾根コースの位置の表示が違っていて、本当はもう1本北よりの尾根が正しい登山道。
 
[温泉] 冨貴の森温泉 床浪荘  TEL0264-58-2031 
・長野県木曽郡南木曽町吾妻
・R256大平分岐やや妻籠寄りに看板有。
・入浴料550円。石けん、シャンプー、ドライアーあり。
・露天風呂、ジャグジーあり。
・露天風呂は木の湯舟。開放的で周りの緑が気持ちいい。
おすすめ。
・土日の外来入浴は15:00までとあるのが気になる。

   
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