三輪山( みわやま) [大和・青垣] 467m |
神と仏の山 No.3 |
三輪山に行くのは2度目である。2年前の勤労感謝の日にも行ったのだがその時には登れなかった。たかだか500mを切る高さの山になぜ登れなかったのか。その訳は・・・。 |
三輪山は大和の国の一宮である大神(おおみわ)神社の御神体である。御神体とは神様そのものということで、大神神社は三輪山を神様としてお参りしている。
古来では神はいつも神社にいるものではなく、神に願いごとがあるたびに岩や木などの神が憑きやすい物(依代=よりしろ)に神を迎えていた。三輪山はそうした神が憑依しやすい神聖な山とされていて、のちに山そのものが神と考えられるようになった。 |
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大神神社拝殿 |
そこで2年前に「御神体に登れるなんておもしろそうだ。」ということで出かけたのだが、その日は大神神社で新嘗祭(にいなめさい)が行われていて、年に6回ほどある登頂できない日だった。神社で大きな祭事が行われる日は、御神体である三輪山には登れないのだ。
神官にそう言われて、戦前の国家神道の時代に新嘗祭であった日を、戦後「勤労感謝の日」にあてたことを思い出した。 |
三輪山(JR桜井線の車窓から) | 狭井神社 |
狭井神社の社務所で入山料300円を払い、参拝証のたすきを受ける。山に入っている間はこのたすきを肩に掛けていなければならない。それに写真は厳禁。そのためこのHPも山中の写真はない。
狭井神社の右手から山道に入る。道はしばらく尾根の上を行く。右側は有刺鉄線が張ってある。大神神社の真後ろになるので人が入らないようになっているのだろうか。 すぐに道は左に下がって、沢道になる。ミョウガの白い実が目に付く小さな沢に沿っていくと行場の滝がある。行者のための小屋掛けもある。 ここから沢を離れてまた尾根をたどる道になる。杉や桧にシイやサカキが混じる、どこにでもある里山の感じだ。ふと見上げると頭の上を鷹が飛んでいた、翼や胴の下が白いのでサシバだろうか。そろそろタカの渡りの季節だ。 あまり展望はきかないとガイドブックにはあったが、西の方が木の間越しにわずかに望まれる。平らな大和盆地の中に緑の耳成山がぽつんと飛び出していて、巨大なお灸のようだ。その後ろに葛城の山が連なっている。
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時々、同じようにたすきを掛けた人が下ってくるがそれほど多くはない。下山までに出会ったのは全部で20組ほどだろうか。 山頂に近づくにつれて倒木や、立ち枯れが目立ってくる。松は松くい虫の被害だろうが、桧や杉が枯れているのはなぜだろう。大きな台風でもあったのだろうか。
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こんなたすきを掛けて登る(狭井神社前で) |
気がつくと奥の方で声が聞こえる。まだ先があるようだ。神社の左手に進むと岩が積み重なったところがあった。磐座(いわくら)らしい。ここだけ岩が露出していて不思議な感じがする。ここに神が降り立つということなんだろう。神聖な場所であることを、ぐるりと囲った注連縄が示している。ここがほんとうの頂上のようだ。お参りして同じ道を戻る。
狭井神社の社務所にたすきを返し、神社の裏の湧き水を飲む。 やっと登れた御神体の山だったが、写真を撮れないのがつまらない。山形の羽黒三山の湯殿山神社の御神体は温泉がつくりあげた噴泉塔だそうだが、ここも写真は撮れないらしい。写真に撮ると霊力が薄れたりするのかもね。 午後はヒガンバナの咲く飛鳥をサイクリングで回った。 |
アイコンをクリックするとマップがでます。 <桜井(1/25000)>
[山行日] | 2001/9/23(日) | |
[天気] | 快晴 | |
[アプローチ] | 岡崎 6:50 →(区間快速)→ 7:20 名古屋 7:30 →(近鉄特急)→ 9:20 大和八木 9:23 →(準急)→ 9:29 桜井 9:36 →(JR桜井線)→ 9:39 三輪駅 | |
[コースタイム] | 三輪駅(0:20)狭井神社(0:55)三輪山山頂磐座 (0:45) 狭井神社 (計2:00) | |
[アドバイス] |
・三輪山に登ることができない日 1月1〜3日、2月17日、4月9日、4月18日、10月24日、11月23日 ・入山受付時間 午前9時〜下山午後4時まで(3時間以上の滞在はできない。) 大神神社のHP |
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[ガイドブック] | 「関西百名山」 山と渓谷社 |