明星ヶ岳( みょうじょうがたけ)                        [鈴鹿]   560m

 

  明星ヶ岳は鈴鹿の南端、主稜線から少し離れたところにある標高600m弱の山だ。ガイドブックによれば独立峰で、標高の割りに登高欲をそそられる山容とのこと。
  東名阪の関
ICに近く、東西どちらからもアプローチしやすいということで、メーリングリスト「ていはい(低山徘徊)」の初めての「関西東海合同オフ」が行われることになった。

土曜日ながら年末ということもあり、参加者は関西からmizutaniさんともぐもぐさん、東海からアーリィバードさんと僕という少人数だったが、友人や奥さんなどを加えて総勢8人になった。

 

  当日は、予報どおり冬型の気圧配置で、風が強い寒い日になってしまった。東北地方は大雪になっているらしい。

 登山口に9時集合だったが、名高速、東名阪と2ヶ所で事故があり、登山口に着いた時には既に20分近く過ぎていた。しかし、目印の大きな石灯籠のそばには他の人の車が無い。
  遅れた時には先に行ってもらう事になっているので、人がいないことは予想していたが車までないとは…。
  あまりの寒さに中止になったか。いやいや、そんなことはあるまい。

登山口付近から見上げる明星ヶ岳(左)
 
 とにかく車を路肩に止めて、石灯籠から国分寺を目指して歩き始める。舗装がされたしっかりした道だ。これは奥まで車で入ったかな。

 案の定、車道の終点に名古屋ナンバーと大阪ナンバーの車が1台づつ止まっていた。やれやれ、みんな来てるらしい。先を急ごう。
 

 新しく切り開かれたような急な参道を登ると、じきに国分寺に着いた。人の気配はないが、1匹の犬がお出迎え。数匹のネコも陽だまりに丸まっている。捨て猫だろうが、キャットフードが山盛りになっているのがせめてもの救いだ。一応、寺の人に面倒を見てもらっているらしい。

 国分寺には明星山という山号が付いている。昔、弘法大師がここを訪れた時、明星が瑞光を放って柏の大樹に飛び込み、その柏をもって本尊の虚空蔵菩薩を刻したという言い伝えによるものとのこと。由緒ある大寺であったらしいが、戦国時代末期に近江の蒲生氏や六角氏の焼き討ちに合い、往時の面影はない。

国分寺の本堂
 

 本堂の左手から裏の斜面を登る。尾根に出たら右へ。道は植林された杉や桧の倒木帯を抜ける。台風の被害だろうか。かなりの木が倒れている。西から風が吹きぬけるのでぐっと寒く感じる。林床にはフユイチゴが赤い実を付けている。

 支尾根をたどり、393mの標高点の所で踏み跡を左に下る。ここも倒木だ。正面に明星ヶ岳の山体が迫る。倒木を跨ぎ、黄葉したニガイチゴのトゲの枝を除けながら、鞍部を抜けて山腹に取り付く。

 道は踏み跡程度で、ひたすら真っ直ぐ登っている。回りはやや荒れた植林地で暗い感じだ。樹の幹をつかんで体を引き上げるほど急なところもあり、全身運動だ。この直登はしんどかった。
 

 傾斜が緩やかになったら、三角点のある明星ヶ岳山頂だった。三等三角点だが展望は利かない。北西の方角だけ少し見通しがあり、西峰が見える。皆んな展望の利く西峰の方に行ったのだろう。こちらも休まず西峰に向かう。

 尾根道は相変わらず暗い林で、冷たい風が吹きぬける。時々、風に小雪も混じる。2つほどコブを巻くと西峰に到着。やっと「ていはい」の皆さんに会えた。よかったー。

 知った顔はアーリィバードさんだけ。mizutaniさんともぐもぐさんは初めてお目にかかる。狭い山頂で風も冷たく挨拶もままならず。
 僕ら2人を合わせ集合写真を撮ると、既に展望を楽しみ終わった皆さんは昼食場所を探しに先に下山。皆さんを見送って、周囲を見渡す。

明星ヶ岳三角点(樹間に西峰を望む)

 鈍色の空の下に鈴鹿南部の山々が連なる。すぐ北に仙ヶ岳の双耳峰と野登山が並んでいる。その間に雪雲にかすんだ鎌ヶ岳が天を指している。仙ヶ岳の左には雨乞も見える。仙ヶ岳の南に続く峰々は四方草山などだろうが同定できない。
 鈴鹿峠に登る国道
1号の向こうに大きく見えるのは高畑山や那須ヶ原山だろう。眼下の関の街並みの向こうにひときわ鋭い三角を見せているのは錫杖ヶ岳だ。東側は平野の向こうに、空よりもかすかに白っぽい灰色の伊勢湾が広がっている。
 
仙ヶ岳(左)と野登山(右) 間に遠く鎌ヶ岳 尖った山頂の錫杖ヶ岳

 下山にかかり、尾根道を戻るが先に下った人たちの姿が見えない。どこまで下ったんだろうとやや心配になりかけた頃、谷の方から呼ぶ声がする。導かれていくと、風下の斜面で皆さん休憩中。かなり急な斜面で集まって座ることができず、思い思いにバラバラと座っている様子は、なんだか、北風をよけるニホンザルの群れのようだ。

 アーリィバードさんが運び上げたおいしい日本酒を少し頂き、坦々麺のカップヌードルを食べて、ホットする。でも、じっとしているとじわじわ寒さが戻ってくるし、油断すると斜面を転げ落ちそうで落ち着かない。撤収の際には、mizutaniさんのペットボトルが転げ落ちた。
 

喘いで登った急坂も下りは快調。一足先に下ったmizutaniさんはフユイチゴの実を摘んでいる。フユイチゴ酒にするそうだ。僕も一粒食べてみた。種だらけだが意外に甘かった。

国分寺からの下りで展望が開けるところがあり、双眼鏡を覗くと名古屋駅前のセントラルタワーズが見えた。

フユイチゴの実 (少しブレている)


 下山後、そろって亀山市営の温泉へ。
150円という破格の入浴料で体を温め、満足、満足。温泉には「白鳥の湯」という名前が付いている。白鳥の飛来地という訳ではない。
 露天風呂の解説板によれば、このあたりは古事記に伝えられる「能煩野(のぼの)」の地で、日本武尊がこの地で亡くなった後、尊の魂が白鳥になって飛び去ったという伝説の地であることからこの名前が付けられたということだった。

温泉の後、東海道関宿の古い町並みを歩き、山登りに来たのに、なぜか歴史にも親しんだ一日でありました。



アイコンをクリックするとマップがでます。 <亀山(1/25000)>


[山行日] 2001/12/15(土) 
[天気] 曇り時々晴れ一時小雪
[アプローチ] 東名阪自動車道 亀山I.C. →(県道406)→ 登山口  [約4km]
県道から国分寺への入り口に大灯篭がある。灯篭から400mほど入った左に3〜4台の駐車スペースあり。
[コースタイム] 登山口 (0:20) 国分寺 (0:45) 明星ヶ岳三角点 (0:10) 明星ヶ岳西峰山頂 (0:10) 稜線東側で昼食 (0:50) 国分寺 (0:15) 登山口    (計2:30)
[ガイドブック] 「名古屋周辺ワンデイ・ハイク」 山と渓谷社

 

[寄り道]  東海道「関宿」 

・旧東海道で、唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、街並みの保全に力を入れている。
・宝珠をかたどった虫籠窓が特徴的な「旅籠玉屋歴史資料館」や国重要文化財指定の地蔵院本堂など見どころが多い。
関宿まちなみ館のHP
[温泉] 亀山市総合保険福祉センター 「あいあい」 tel 05958-4-3311
・亀山市羽若町545
・入浴料なんと150円。入浴税だけで、実質無料のようなもの。
・営業時間10:00〜20:00。火曜定休。
・露天風呂。石けん、シャンプー、ドライヤーあり。
・建物の外見は体育館のようだが、明るい浴槽で気分が良い。

   
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