日本ヶ塚山( にほんがつかやま)                    [奥三河] 1107m

 

 GWなのに、今年は暦以下しか休みが取れなかった。休み明けからまた残業続きが予想されるので、「とにかく気分転換に行かなければ」と奥三河の日本ヶ塚山へ行くことにした。ここならば、家から高速を使わずに行けるので渋滞は避けられるだろう、という読みだ。

 日本ヶ塚山は愛知県の北東端。離島を除いて一番人口が少ない富山村にある。夕方家を出てすいた夜道を飛ばしたが、県内なのに3時かかってしまった。さすが富山村だ。カーナビの示したルートは最短ルートのようだが、狭いワインディングロードの連続で、登山口のバンガロー村に着いたときには、目一杯疲れてしまった。

 車のシートを倒し、ついこの間オンラインショッピングで入手したエアーベットを膨らませて横になる。シートのでこぼこがベットで均されて快適だ。4時に起きるつもりが、寝心地が良くて、40分も寝過ごしてしまった。カップヌードルをかき込んで、そそくさと出発する。

 ガイドブックにはバンガロー村に注ぎ込む押出沢をしばらく遡ってから尾根に取り付くコースが載っているが、駐車場の横にある標識に従って、最初から尾根を行くコースを取る。

 いきなり杉の植林地の急登で、体が目覚めきってないのでつらい。休み休み息を整えながら登る。杉林の中に岩が散在していて、なんだか山城の跡のような感じだ。
 

こんな標識がずっと付いている
 

 最初の急登を登りきると雑木が混じるようになって、尾根道が明るくなる。道は胸をつくような急登と緩やかな登りとを繰り返して高度を上げていく。ところどころ間伐材でできたベンチが置いてあり、ベンチを過ぎると急登が始まるというパターンが続く。道はよく整備されている。

 木立にさえぎられてずっと展望が利かなかった道が急に伐採地に出て、目の前に隣の山から続く稜線が迫っていた。あれ、押出沢からの道はどうしたんだろう。半分眠りながら登っていたので、合流点を見落としてしまったらしい。1065mのピークは伐採地からひと登りだった。

 

1065mピークからの日本ヶ塚山
 
離山
 
 ここでやっと日本ヶ塚山の山頂が望まれる。アップダウンの激しい稜線が山頂に向かって続いている。南側の切り開きから佐久間ダムのダム湖の水面が見える。山また山が続くばかりで人家は見えない。南側の一塊はガイドブックにもある離山(916m)だろう。
 絶え間なく、ポポ、ポポというツツドリの声が谷間から登って来る。目に染みる新緑と単調なツツドリの声。しみじみ初夏の山を感じる。

 

 道は一旦大きく下ってまた上り返す。狭い稜線続きで、急なところにはロープが張ってある。
ガイドブックには5月の上旬にアカヤシオが見られるとあったが、目に付くのはミツバツツジばかりだ。ヤシオツツジらしき葉っぱはあるので、どうも、もう花は終わってしまったらしい。
 先週、鈴鹿へ登った人が満開のアカヤシオの写真を
HPに載せていたが、こちらの方が標高も少し低いし、雪も少ないところなので、ピークが早いようだ。わずかに数輪、枝先に残っているのを見ただけだった。
 

わずかに残ったアカヤシオ
 
満開のトウゴクミツバツツジ
 

 少々気落ちしながら、ひょいと岩峰を乗り越えたら、目の前にヒカゲツツジがあった。これは初めて見る花なのでうれしい。
 今年、美濃の天王山まで見に行こうと思ったのだが、仕事が忙しくて行きそびれてしまった。また、来年まで待つしかないと諦めていたところだったので、一際うれしい。ほとんど痛んでいる花ばかりだったが、思っていたより広い葉であるとか、全体がシャクナゲに似ていることなどが分かり、やはり実物に勝るものは無い。
 

 
ヒカゲツツジ シロヤシオ
 
 上ばかり見て歩いていたら、葉っぱの間にシロヤシオが咲いているのに気がついた。アカヤシオが早い分、シロヤシオも早いのだ。下向きの花が奥ゆかしい。低いところに咲いているのを見つけて、カメラに収める。満足満足。ミツバツツジもどうやら家の近くでは見かけないトウゴクミツバツツジのようだ。

 涼しい風に吹かれ、ツツジを愛でながら歩いていたら、アップダウンもほとんど苦にならずに日本ヶ塚山の山頂に着いてしまった。
 

 登山口から約時間。まだ、8時過ぎなので、山頂には誰もいない。ベンチに腰掛けて、ゆっくりおにぎりを食べる。北側が開けているがもやってしまって遠望は利かない。お隣の八嶽山が見えるくらいだ。もっとも展望があっても、ほとんど山名は同定できないだろう。
 足元に散らばる花びらに気付いて顔を上げると、そばにヤマザクラがあり、まだ満開に近い花をつけていた。

山頂の箱に入ったノートを開いてみると、アカヤシオのピークは4月の20日の週だったようだ。
真冬にも登っている人がいて驚く。

山頂の三角点。向こうが八嶽山。
 


 下山は山頂近くに突き上げている尾根を下る。しばらく前までこのコース(
Cコース)は閉鎖されていたが、修復がなったようで、今は通っても大丈夫のようだ。

 一旦、左手の中腹でジグザグを切ってから、尾根に戻って後はひたすら下る。こちらも狭い尾根で、ヒノキの植林に雑木がところどころ混じる。モミや赤松の大木も残っている。
 

 どんどん下って大きなベンチが2つあるところで、尾根を離れて近づいてきた中沢に下りる。中沢を新しい丸木橋で渡って、沢の左岸の巻き道を下る。
 多くの桟道が新しくなっているところを見ると、おそらく古い桟道が危険になったために、このコースは閉鎖されていたのだろう。今は安心して渡れるものばかりだ。

 道は砂防堰堤のところで舗装された林道に出、それを下ると県道に出る。県道を左に10分ほど登るとバンガロー村だった。

 登りは風が寒いくらいだったが、最後の車道歩きは暑かった。

新しくなっている桟道

 

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[山行日] 2003/5/5(月・祝) 
[天気] 晴れ
[アプローチ] 岡崎 →(R248)(県道39号)→ 足助町 →(R153)→ 稲武町 →(県道80、面の木峠)→ 津具村大島 →(県道427)→ 豊根村坂宇場 →(県道426)→ 豊根村三沢 →(県道426、霧石峠)→ 古里とみやまバンガロー村  [約110km]

・約10台駐車可。
・帰りは霧石峠を越えた後、みどり湖、豊根村役場、津具村と経由して稲武町へでたが、こちらのルート方が道が広く、カーブも少なくて走りやすい。
[コースタイム] バンガロー村 (1:40) 1065mピーク (1:00) 日本ヶ塚山山頂 (0:50) 中沢への下降地点 (0:45) バンガロー村     (計4:15)
[地図] 三河大谷、佐久間(1/25000)

 

[ガイドブック] 分県登山ガイド「愛知県の山」 山と渓谷社
ガイドブックの下山コースは間違っている。正しい登山道は途中から中沢寄りの支尾根を下る。
 
[温泉] 富山村「湯の島温泉」  tel 05368-2-3135

・富山村の井戸沢出合に湧く温泉。 教育文化センター「森遊館」に隣接する。
・営業時間 火、木    16:00〜19:00
        土、日、祝 13:00〜19:00
・客があったので11:30から入浴させてもらった。

・入浴料400円。石けん、シャンプーあり。
・浴室は狭いが、露天風呂もある。

   
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