大洞山(おおぼらやま)                        [伊勢] 1013m

 

 大洞山の麓の三多気はヤマザクラの名所ということで、以前から気になっていたが、ちょうど 花の季節に山歩会からお誘いがあった。 一人で人ごみ出かけるのは気鬱だが、大勢ならばかえってわいわいと楽しめるので、同行させてもらうことにした。
 国道368号の杉平から三多気へ上がろうとしたら、曲がり角で通行止めになっていた。桜祭りで駐車場が満車になり入れないという。しかたなく国道を戻り、シャトルバスが出るさくら会館(伊勢地出張所)で
「大洞山へ登りたいのだが車は止められないか。」
と聞いたが、教えてくれたルートではかなり大回りになりそう。
 まあ、桜も目的のひとつなので皆でシャトルバスに乗る。駐車料金500円が必要だが、バス代はタダ。

 シャトルバスを降りるとさっそく駐車場の満開のシダレザクラがお出迎え。
 大勢の観光客に混ざって、ゆるゆると桜並木の細い道を登っていく。ソメイヨシノは満開だが、ヤマザクラはまだ、三分咲きといったところか。出店もあちこちに出ているが、買物は帰りにとっておいて、先に進む。

三多気の桜並木
 

 三多気に桜が植えられ始めたのは平安時代とのことで、歴史がある。集落の一番上にある真福院の境内に 、京都の醍醐寺を開き、この真福院の開祖でもある理源大師が植えたのが始まりと言われている。その後南北朝時代に、この地を根拠とした北畠氏が真福院を祈願所とし、参道にも植え増や していったとのこと。
 ここの桜は国の名勝にも指定され、日本さくら名所百選にも選ばれているそうな。

ヤマザクラ
 

 大きな欅と太い杉の間の石段を登って山門をくぐると真福院の境内に入る。庫裏の前では餅つきが行われている。二つの臼の周りをそれぞれ6〜7人がとり囲み、細い杵で搗いている。餅を返す人が歌いながら調子を取っている。
 下山の際に庫裏の中を覗いたら、小さく丸めた紅白の餅が一面に広げてあった。お祭りに使われるのだろうか。

真福院境内の餅つき
 

 境内を出てコンクリート舗装の車道を登っていく。かなり急な道だ。
 登りきったところに東海自然歩道の案内看板があって、駐車場もある。あたりは少し広くなっていて、キャンプ場とのことだが、施設らしい施設はない。
 ここから車道を離れて、キャンプ場の中の園路を登る。植えられたものだろうが、トサミズキが一面に黄色い花をつけている。振り返ると遠く、高見山のきれいな三角が空に霞んでいる。

キャンプ場から遠く高見山を望む
 

 キャンプ場の上に車道が通っていて、ここが東海自然歩道のようだ。車道を少し左に進み、右側の山道に入る。ガイドブックではここが大洞山の登山口とされている。

 ここからはひたすらの登り。杉や檜の植林地のなかを真っ直ぐ石段が伸びていて、延々と登っていく。

 傾斜が緩くなって、なおも登ると左手が急に開ける。山頂の一角に辿り着いたようだ。もやっていて遠くは見えないが、谷を隔てた西側には倶留尊山 (くろそやま)が大きい。
  
 

石段
 
古光山(左)と倶留尊山(右)
 
雄岳(左)と尼ヶ岳(右)
 

 山頂には展望盤があって、周りの山々が同定できる。登ったことがあるのは、隣の倶留尊山と今年の1月に登った朝熊ヶ岳の他は、南の方に尖った山頂を突き上げている局ヶ岳くらいだ。富士山、白山の表示もあるが本当に見られるんだろうか。
 正午も過ぎており、ここでランチにする。ランチの後はおなじみMaさんのコーヒー。ありがたく、おいしくいただく。

 こちらの山頂は雌岳で、北側に雄岳が見えている。地図には雌岳の方に大洞山と記されているが、雌岳は985m、雄岳は1013mで雄岳の方が少し高い。もちろん雄岳まで行ってみる。

 
 雑木の山道を一旦下って、また登り返す。雄岳の山頂には15分程で着いてしまい、見た感じより近い。

 山頂からは北にきれいな円錐形の尼ヶ岳を見下ろせる。「伊勢富士」かなと思ったが、帰ってから調べてみると「伊勢富士」は堀坂山のことだった。
 山頂には浅間神社でも祀られていたのか、富士浅間の文字が彫られた石柱が置かれていた。やはり富士山が見えるのだろうか。

 下山は同じ道を戻る。登りで閉口した石段は、下りの方がもっとしんどかった。かなり急な上に滑りやすい。真福院まで下ったら、膝ががくがくになってしまった。

雄岳山頂
 
よく咲いているヤマザクラ
 
棚田に桜が映る撮影ポイント
 

 午後になっても三多気の人出は多かった。三脚を据えたカメラマンも多い。
 朝よりもよく咲いているように見えるのは気のせいだろうか。出店を冷やかしながらバス停までぶらぶら歩き、またシャトルバスに乗って車まで戻る。 

シャトルバス車窓からの大洞山

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[山行日] 2008/4/12(土)
[天気] 晴れ
[アプローチ] 伊勢道 久居IC (R165号)→ 大三 (県道15号)→ 伊勢奥津 (R368号)  伊勢地出張所(さくら会館)    [約35km]

さくら会館→(シャトルバス)→ 三多気
      
・桜祭りで観光客が多く、三多気の駐車場まで入れず、さくら会館で駐車し、シャトルバスで三多気に入る。
・駐車料金500円。シャトルバス無料。バスは随時運行。

[コースタイム] 10:40 三多気 (0:15) 真福院 (0:25) 大洞山登山口 (0:40) 大洞山雌岳山頂 (0:15) 雄岳山頂 (0:15) 雌岳山頂 (0:20) 登山口 (0:15) 真福院  (ぶらぶら歩いて0:45) 三多気  15:30   (計3:10)
[地図] 倶留尊山 (1/25000)
[ガイドブック] 新・分県登山ガイド23「三重県の山」山と渓谷社

   
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