高妻山( たかつまやま) [上信越・頚城] 2353m |
上の写真は1981年10月11日、戸隠の表山を縦走した時に八方睨みから撮ったもの。谷を隔ててすっくと立ち上がった高妻山の姿は素晴らしく、
いつまでも眺めていた。 それからまた10年以上が過ぎ、最初に魅せられてから25年の歳月が流れてしまった。もうそろそろ何とかしないと、体力の低下で登れなくなってしまうと思い、日の長い今の時期を狙って、 一念発起、再度挑戦することにした。 |
午前4時に起きて戸隠小舎を出る。下で待つことにした女房に車で戸隠高原キャンプ場まで送ってもらう。キャンプ場入口には大型バスが止まっていて、たくさんの登山者を降ろしている。昨夜聞いた、戸隠小舎の息子さんがガイドする団体さんというのはこれらしい。団体さんと一緒にはなりたくないので、そそくさとキャンプ場を出発する。
キャンプ場は学校の野外活動なのか、芝生広場にずらりとテントが並んでいる。オートキャンプ場のほうもたくさん車が入っている。前方の戸隠山は上のほうがガスで、わずかに一不動の鞍部辺りが見える。
ショックを引き摺りながら、キャンプ場の端まで来たら登山口が分からない。コテージの間をうろうろするがそれらしい標識はない。作業道らしいものが山に向かって延びていたので、少し進んでみたが柵で行き止まりになっていた。うーんこれはどういうことだ。ショックのダブルパンチ。
牧場が切れるあたりにテントが立っていて登山届けを書く。団体さんのほかにいくつかのグループが前後して歩いている。
前のグループに離されないようにと、頑張って歩いていたら団体さんに追いついてしまった。ペースが遅くなり、呼吸が楽になった。まあ、このくらいが僕の本来のペースだろう。長丁場なので、マイペースで行かないと、バテてしまう。 |
団体さんが休憩を取ったので列の前に出たが、ペースは上げずにゆっくり歩く。
やがて滑滝の横を鎖で登り、ズリに埋もれた沢を登ると、帯岩のトラバースにかかる。このコース一番の難所と言われているが、ステップは切ってあるし、ところどころ草も生えていてあまり高度感はなく、難なく越えられる。 |
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滑滝(携帯写真、以下同じ) |
ここからは岩がごろごろした歩きにくい道。両側を潅木に覆われてトンネルのような道を行くと、道の左側の竹筒から水が出ている。一杯清水だ。
喉を潤して、もう一登りするとその一不動に着く。避難小屋の前で休憩をとり、朝飯がわりの菓子パンをかじり、稜線歩きに取り掛かる。ここからがまだ遠い。 |
一不動から一登りで二釈迦。小さな石の祠が置いてある。無くなっているところもあったが、名前の付いた各ピークにはどこも祠が安置してあった。
ここから五地蔵までは、基本的に右手が草地、左手はダケカンバやコメツガの森。小さなアップダウンがあり、体力を使いすぎないように気を付けながら歩く。ガスの中から、ウグイスやコルリの鳴き声が間近に聞こえる。 |
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クガイソウ |
右手にお花畑が広がり、息がしんどくなってきてやっと五地蔵に到着。もう少し先が本当のピークで展望が開けるそうだが、ガスなので五地蔵の標識のある祠の前で休憩。丸く笹が刈り払われている。エネルギー補給にゼリー飲料を飲む。単独行の人が何人か通り過ぎていく。まだ足取りの軽い人、ちょっと疲れている感じの人、様々だ。 |
五地蔵からわずかな歩きで六弥勒、七観音。ここから大きく下って登り返すと八薬師。この辺りの鞍部はぬかるみになっていて歩きにくい。 |
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高妻山最後の登り |
笹のなかの溝のような登山道は、だんだん傾斜が増していく。風が通らない上に、頭上からガスを通して陽が射してきて暑い。おまけに足元はごろごろした岩で歩きにくい。 次第に周りが潅木になってきて、傾斜が緩くなりぽっかり草原に出る。ガスで見えないが、山頂の一角のようだ。十阿弥陀の祠を過ぎ、大岩が重なった歩きにくい岩場を越えると三角点の山頂だった。 |
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十阿弥陀の祠 |
やっと念願の山頂に到着。ガスのベールで回りは何も見えないけれど、満足感は一杯。携帯のカメラで記念写真を撮ってもらう。
十数人ほどの人が山頂の岩場の上に三々五々休んでいて、コンロで食事の支度をしている人もいれば、蹲って動かない人もいる。僕も乾いた喉にパンを押し込むが、あまり食欲はない。 |
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山頂記念写真 |
九勢至までの下りの途中で団体さんが登って来た。道を開けてもらい通してもらう。4人もガイドがついているというだけあって、大きな団体なのに統制が取れている。九勢至まで下って振り返るが山頂はまだ雲の中。午後になってもガスは取れそうもない。 |
七観音までの登り返しが帰りの中では一番きつい。七観音の祠のそばの木陰で息を整えていると、風が通って気持ちがいい。
五地蔵まで来るとちょっと安心して、大休止。今度は行きとは別の展望の効く方のピークだが、相変わらず回りはガス。ガスの切れ間からちらりと黒姫山の方が見える。 |
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七観音の登り返し (背後は五地蔵山) |
五地蔵からは快適に下る。行きに分からなかった四普賢の祠を確認し、三文殊の登りに最後の力を振り絞って、一不動の鞍部に到着。
鞍部ではガスが切れ、下の牧場が見下ろせる。下は陽が射して暑そうだ。大休止をとり、氷清水でまた喉を潤してなおも下る。帯岩、滑滝ともに下りの方が気を使うが、危険というほどではない。予想していたより1時間半も早く、2時半に牧場入口に帰ることが出来た。 |
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一不動付近から牧場を見下ろす |
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[山行日] | 2006/7/29(土)〜31(月) | |
[天気] | 曇り | |
[アプローチ] | 29日 上信越自動車道 信濃町I.C. →(県道)→
戸隠キャンプ場
→ 戸隠小舎
[約17km] 30日 戸隠小舎 → 戸隠キャンプ場 [約2km] |
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[コースタイム] | 4:45 戸隠キャンプ場 (1:30) 滑滝 (0:15) 氷清水 (0:15) 一不動 (0:20) 三文殊 (0:40) 五地蔵山 (0:10) 七観音 (0:35) 九勢至 (0:20) 岩場 (0:25) 9:55高妻山山頂 (0:40) 九勢至 (0:30) 七観音 (0:10) 五地蔵山 (0:25) 三文殊 (0:10) 一不動 (1:25) 牧場入口 14:25 (計7:50) | |
[地図] | 高妻山 (1/25000) | |
[ガイドブック] | ブルーガイドハイカー「妙高・戸隠と越後の山々」実業之日本社 |
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[宿] | 戸隠小舎 ・長野市戸隠越水ヶ原 TEL026-254-3333 ・戸隠高原の越水ヶ原に古くからある山宿。2007年で創立50周年になる。山小屋ではなく、和風ペンションの雰囲気。 ・オーナーの佐々木徳雄さんは登山家、息子さんの常念さんはスキーと山のアドバイザー |