藤尾山(ふじおやま)208m、 滝頭山(たきがしらやま)258m、衣笠山( きぬがさやま)278m     [三河]

 

 「カイナンサラサドウダンなら滝頭公園の滝の近くにあるんじゃない。」という、いまいちはっきりしない情報を唯一の頼りに、田原へ出かける。
 カイナンサラサドウダンは愛知、三重、和歌山、徳島に分布するドウダンツツジの仲間。見たことがないので図鑑の知識しかない。いつ咲くのかもよく分からない。宮路山のコアブラツツジがゴールデンウィーク頃のなので、「まあ、あまり違わないだろう。」と、取り敢えず行って見ることにした。

 田原市の滝頭公園の駐車場に車を止めて、公園の奥にある不動滝を目指す。野球場やテニスコートは賑わっているが、遊歩道を奥に進むと、人影は少なくなる。石段を登り、滝頭不動の祠の横を抜け、山道らしくなった道を辿ると不動滝に到着する。

 滝は流れは細いが、高さは5、6mくらいあるだろうか。右手の岩場には石仏がたくさん安置してあって、修験道の行場であったという雰囲気は感じられる。

 滝の周辺は薄暗く、あまりツツジが咲きそうな環境ではない。ツツジはもう少し日当たりのいいところが好きなはずだ。
 ちょうど稲荷山への標識が目に入ったので、それを登ることにした。稲荷山は藤尾山から東に延びる稜線上にある山で、「稜線に上がれば当然日当たりはいいだろう」と単純に考えただけで、当てがある訳ではない。

不動滝
 

 

 道はいきなりロープが張られた急登で、岩だらけの道を岩に掴まりながら登る事になった。 みるみる森が足元になり、振り返れば眼下に公園の池。背後に衣笠山が裾野を引いている。

 道の脇にはコアブラツツジが小さな花を付けている。宮路山以外でコアブラツツジが見られるとは思わなかった。

尾根へ上がる道からの衣笠山
 
 稜線に続く防火帯に出たところにコアブラツツジの群落を示す標識が立っていた。「もう花は見たからいいか」と思ったが、ひょっとしたら他のツツジもあるかもしれない と小道を入って、みたらいきなり見慣れない花が目に入った。 

 お、これかもしれない。妙に大きな木の板に「カイナンサラサドウダン」と書いてあり、思わず「当たりー。」と叫んでしまった。

 カイナンサラサドウダンはコアブラツツジの群落の中に2、3本固まって生えているだけだった。枝にはたくさん花の房が下がっているが、まだ、時期が少し早いようで蕾が多い。図鑑ではもう少し赤みがかかっているし、こんなに房に密に花が付いていなかったような気がするが、まあ、樹名板が下がっているので間違いはないだろう。

 花の写真を撮ってもよくピントがずれているので、念のため何枚も写す。花を見るにはもう1週間くらい後の方がいいだろうが、今年は桜も遅かったし、少し遅れているのかもしれない。

 

カイナンサラサドウダン
 

 さて、目的は達成してしまった。カイナンサラサドウダンが見つかるまで、滝の周辺を探し回ろうと思っていたのだが、予想外に簡単に見つかってしまった 。時間はあるので、ついでに滝頭山に登ってみようと、稜線を藤尾山の方へ向かった。

 藤尾山の山頂は稜線から外れていて、少し下って登り返さなければならなかった。樹林の斜面を直登すると、突然展望が開けて山頂に着く。
 畑の向こうに遠州灘の海岸線が延びている。中高年の3人組が山頂の露岩のそばで休んでいて、僕も木陰でおにぎりを食べる。

 

藤尾山山頂から遠州灘を望む
 
 再び稜線の道に戻り滝頭山を目指す。西の覗きからは渥美半島の先の方の展望が開ける。

 一旦古い林道に出て、反対の斜面を上がり、右手にたどると滝頭山の山頂。休憩所の基礎のようなコンクリートが残るだけの何も無い山頂。わずかに木の間から衣笠山の山頂が覗く。ここから滝に戻ることもできるが、ここまで来たのだからと衣笠山に向かう。

 山頂からは斜面を直線的に下り、仁崎峠で車道を横切り、再び稜線の道になる。ここからは防火帯が道になっていて、軽自動車が通れるくらいの広さがある。なぜかジョギングコースの標識も立っている。
 周りはウバメガシが多いが、枝いっぱいに白い花を付けた樹が目立つ。後で調べたらクロバイだった。

コバノタツナミ
 
クロバイ
 
 防火帯の広い遊歩道から分かれて山道をひと登りすると衣笠山の山頂。
 展望は無いが、北側の大岩に登ると眼下に三河湾が広がる。埋立地も目立つが、対岸には本宮山への山並みが続く。今日はガスっているが、空気が澄んだ季節はさぞ眺めがいいことだろう。

 この大岩には滝頭公園のそばにあった田原山宮の奥社の祠が奉ってある。

田原山宮奥社の祠がある大岩
 

  東の方角に下ると、再び防火帯の遊歩道。標識に導かれて分岐を進むと、木製の展望台がある。あまり高くはないが上ってみると、梢の上に蔵王山の方角が開ける。蔵王山山頂の展望台と風力発電のプロペラが良く見える。

 板張りの床に寝転がると空が広くて気持ちがいい。ここにもクロバイの花が咲いている。

展望台から望む蔵王山
 

 再び遊歩道に戻り、あとは斜面の道をじぐざぐに下るだけ。車道に出て、右に行くと公園の駐車場に戻ることができた。


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[山行日] 2005/5/8(日) 
[天気] 晴れ
[アプローチ] 岡崎 →(R248)→ 豊橋 →(R259)→ 田原 → 滝頭公園  [約50km]
滝頭公園の駐車場に止める。
[コースタイム] 11:00 滝頭公園 (0:25) 不動滝 (0:25) 稜線 (0:15) 藤尾山山頂 (0:35) 滝頭山山頂 (0:15) 仁崎峠 (0:30) 衣笠山山頂 (0:15) 展望台 (0:15) 滝頭公園 14:40    (計2:55)
[ガイドブック] 分県登山ガイド「愛知県の山」 山と渓谷社


   
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