局ヶ岳(つぼねがたけ)                          [三重県・伊勢]  1229m


 30m程行ったときに、おかしいなと思って一度引き返しかけた。でも、道標の方 向へは倒木があって行けそうもなかったし、道も崩れているようだった。踏み跡はその崩れを巻くように斜面の上のほうへ続いていたし、真新しいビブラムの跡もついて いる。杉の幹には赤テープも見えていた。
 だから、そのままその踏み跡をたどって登 っていたのだがそれが大間違いだった。
  飯高町宮前から見上げる局ケ岳
 踏み跡はときどき谷沿いの登山道に戻るふりをしながらも、しだいしだいに斜面を上がって稜線の方に行ってしまう。これは違うなと思いはじめたが、さすがにもう引き返す気にならず、しかたなくそのまま植林地の中をどんどん登っていった。赤いテープ はところどころにあるものの、踏み跡は薄くなったりまた現れたりを繰り返し、一向に 登山道に戻る気配はない。見通しがきくのを幸いに、急な斜面を無理やりごりごり登 っていくしかなかった。
 最後には踏み跡もなくなったが、もう稜線が近そうだったのでそのまま強引に登り切ってしまった。稜線上にも踏み跡があり、たどっていったら なんとか南側から登ってくる新道に出ることができた。
 やれやれと思っているところに、7〜8人の中年のグループが通りかかり、
「あんたたちも間違えたのかねー。」
「あの赤テープがいかんわなー。」
「それでも、あんたたちは若いでおもしろかっただろう。」
などと調子がいい。
よっぽど
「あんたたちが間違えて変な踏み跡をつけるからこっちも迷ったんだ。」
と言いたかったが、こっちも注意が足りなかったんだからまあ仕方がない。
  南側稜線からの山頂
 しばらく新道を行くと、谷沿いを上がってきた旧道がと合流し、道は最後の上りにかかる。ずっとスギの植林地が続いていたが、頂上直下の斜面だけはヒメシャラやブナなどの気持ちのいい落葉樹になっていた。
 頂上は意外なほど人が多くて、狭い頂上はいっぱいだった。少し下がった草の上で鍋焼きうどんの昼食にした。その間も人が入れ代わり登ってきて、随分人気がある山なんだと知らされた。道もあちこちの方面から登ってきているようで、地元の人にも親しまれているようだ。

 丁度今頃の季節に倶留尊山から遙かに望み、山頂の尖ったカッコいい山だなと思ってから20年。ちょっとどじを踏んだけれど、やっと登れて満足満足。少しもやっていて展望がきかなかったのが残念だったが。

山頂直下のヒメシャラ、ブナ林  
山頂には大きな反射板がある 倶留尊山から(1979.11.24撮影)

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[山行日] 1998/11/23
[アプローチ] 勢和多気I.C. →(R368)(R166)→ 飯高町宮前 → 局ヶ岳神社 [約20km]
[コースタイム] 局ヶ岳神社 (2:00) 局ヶ岳山頂 (1:00) 局ヶ岳神社 (計3:00)
[地図] 宮前(1/25000)
[アドバイス] 僕が道を間違えた個所は、ガイドブックでは「ガレ場があって注意」と記述されている。

   
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