横山岳( よこやまだけ)                    [湖北] 1132m

 

 横山岳は10年以上前に1度登っている。同じような梅雨入り直前の時期だ。
 天気予報はまずまずだったのに、関ヶ原に近づくにつれて雲が厚くなり、登山口に着いた頃には小雨が降っていた。雨は強くはならなかったが、山頂はガスの中。展望はもちろんナシ。

 機会があったらもう一度と思っていたら、最近のガイドブックには東峰を経由する登山道ができたとある。ちょうど山歩会で横山岳に行くというので、コースを東峰経由に変えてもらい、参加することにした。


 

白谷登山口駐車場から見上げる横山岳本峰

 

 
 登山口の駐車場は以前よりも広くなっていて、トイレまであった。

 最近、林道工事が行われたようで、登山道は沢に沿って付けられた作業道に変わっていた。タニウツギやヤブデマリの花も咲いているし、歩きやすいので前より楽だなと思っていたら、看板があって右手の植林地に導かれる。沢沿いの道は崩壊しているらしい。

 仕方ないので看板に従うが、これがまた、つづら折りの急な道。のんびり来たのにいきなりの急登で息が切れる。

             

ヤブデマリの花
 

 やっとのことで新しい林道に出て、一息つく。しかし、日陰がなくて暑い。
 目の前に墓谷山が杉野富士の別名よろしく、端正な姿を見せている。

 ところが、この林道を白谷の方に向かうと傾斜が下っている。せっかく標高を稼いだと思っていたのに、とブチブチ言いながら歩く。

 林道は急斜面の山腹にかなり無理をして造ってある感じで、雪に押されたのか、ガードレールが路肩から落ちて、50mほど谷側に垂れ下がってしまっているところもあった。
 白谷に架かる新しい橋(太鼓橋という名前)の近くも、土砂が谷を埋めている。これでは登山道が通れない訳だ。横山岳は湖北でも自然度の高い山だと思っていたのに、こんな無神経な造り方をされた林道によって、さらに樹が切られるのかと思うと、少々気分が悪くなる。

太鼓橋から白谷コースに戻る。
 

 ここからは以前からの沢沿いの登山道に戻る。道は細い流れを何度も渡りながら登っていく。ヤマシャクヤクの花を楽しみにしていたのだが、もう時期が遅いようだ。
 そのかわりセリ科のシャクが谷を埋めている。花をヤブ漕ぎのように押し分けて登っていく。

 流れの近くの岩場にはヒメレンゲ、山腹にはフジやウツギの花も咲いている。

シャクの花畑の中を登る
 

 太鼓橋から少し登ると経ヶ滝。駐車場の解説板によれば、横山岳は山岳信仰の霊場で、写経の前にこの滝に打たれて身を清めたことから名前がついたとのこと。
 なおも沢を詰めていくと五銚子の滝が現れ、こちらの方が経ヶ滝より高い。お神酒の銚子を清めたことから名付けらたそうだ。五銚子というからは五段に分かれているのだろが、 若葉に遮られて何段かはよく分からない。変化があって、しかも迫力のある滝だ。
 

経ヶ滝
 
五銚子の滝
 

 五銚子の滝を高巻いて、細くなった沢を少し詰めると、道は尾根道になる。ブナやミズナラの急な尾根で、ところどころロープが下がっている。岩場もあるし、木の根を掴んで体を引き上げる所もある。
 きつい登りが続き、グループがだんだんバラバラになっていく。

 周りの森は明るく、気持ちがいい。トチの花が咲いていたり、ユキグニミツバツツジの散り残りがあったりして彩りも添えてくれる。
 前回来た時はヤマボウシを沢山見かけたが、今日はあまり見当たらない。ヤマボウシは三高尾根の方が多かったような気がする。

 遠くでツツドリのポポ、ポポという単調な声が聞こえる。ホトトギスもしきりに鳴いているし、Tuさんの話ではジュウイチも鳴いていたそうで、「森のカッコウ類 」勢ぞろいだ。

尾根を登る
 

 脚が攣りかけて、もういい加減頂上じゃないか、と思っていたらやっと「あと300mがんばれ」の標識。まだ300もあるのかと、がっかりしながら登ると「あと200がんばれ」の標識。おいおい、もう150くらいは登ったぞ、と思いつつなおも登る。言いなりにはなりたくないが、頑張らざるを得ないのが癪だ。
 駄目押しの「あと100mがんばれ」の標識を過ぎるとバカバカしくて頑張る気も失せるが、急に傾斜が緩くなり、最後は100も登った感じはしないのに本峰山頂に着いた。
 

 山頂はあっけらかんとした広場で、一組の登山者が昼食をとっているだけだった。駐車場にはあんなに車が止まっていたのに、他の登山者はどこに行ったのだろう。

 皆、さすがに疲れて三々五々到着。日陰がないのがつらいが、腹が減っては戦はできぬで、最終のMoさんを待たずに昼飯する。分けてもらったビールがうまい。

 山頂の南側が切り開いてあるが、間近にあるはずの金糞山すら靄っている。
 広場の一角にあるプレハブ物置に梯子が掛かっていて、屋根の上が北側の展望台になっている。白山が見えるそうだが、今日は隣の山くらいしか見えない。
 

山頂記念写真( 本峰)
 

 本峰からは景観破壊と言ってもいいくらいのでかい標識に導かれて、尾根伝いに東峰に向かう。ここからは山頂で一緒になった京都の単独行の女性Uさんも同行ということで、8人グループとなる。

 いきなり稜線に雪が残っていて驚かされたが、尾根は全体に岩がちで、樹木の背丈が低く、山頂よりも視界が開ける。小さなアップダウンが続くが、風に吹かれて気持ちがいい。東尾根を登ってきた数パーティとすれ違う。

 30分程で東峰到着。こちらも眺めがいい。杉野の谷も見下ろせる。
 

 東峰からは東尾根コースを下る。
 尾根は一面ブナの森で、幹が細くて若い森だが明るくていい感じ。傾斜も緩やかで、ブナの落ち葉のクッションのおかげで、鼻歌交じりに下っていける。

 ツクバネソウ、ウスギヨウラク、ミヤマシキミ、それにイワカガミ(トクワカソウ?)の残り花などを楽しみながら下っていく。

 尾根は南に向きを変え、針葉樹の植林地が混じってくると、さすがに下りに疲れてくる。この長い尾根を登るのは嫌だなあ、などと思っていると、尾根道を外れて斜面をじぐざぐに下り始める。山が崩れた後に草が生えたような急斜面を横切って、下りたところが東尾根登山口。この山には珍しい小ぶりな標識が立っている。
 

緑の東尾根へダイブ
 

 小休止して、ここからは林道歩き。太鼓橋へ続く新しい林道を右に見送って、左手の白谷口駐車場への、やや狭い林道を下る。傾斜が急なためか、コンクリート舗装がしてあり、疲れた脚には応える。

 林道脇の水溜りに、水が見えないくらい盛り上がってうごめいているおたまじゃくしを見ていたら、急に軽トラが止まった。見れば既に荷台に何人か仲間が乗っている。山菜 採りのおじさんが載せてくれるという。ありがたく8人全員荷台に積んでもらい、風になって駐車場まで。長い林道歩きをパスできて、深く感謝。

              

 京都に帰るUさんと木之本駅で分かれ、駅前の旅館の風呂に浸かる。露天風呂もなく普通の旅館の風呂でちょっとがっかり。まあ、汗は流せたのでいいか。

東尾根登山口のキリの花


登山道の花

ヒメレンゲ
 
ハナイカダ
 
ツクバネソウ
 
クルマムグラ?
 

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[山行日] 2006/6/3(土)
[天気] 晴れ
[アプローチ] 北陸自動車道 木之本I.C. (R303)→ 杉野 →(林道)→ 横山岳白谷登山口駐車場   [約15km]
・ 30台以上止まれる駐車場。トイレあり。
[コースタイム] 9:35 登山口 駐車場 (0:45) 林道 (0:20) 経ヶ滝 (0:25) 五銚子の滝 (1:20) 横山岳西峰 (0:25) 横山岳東峰 (0:20) 東尾根の途中 (0:50) 東尾根登山口 (0:10) 林道途中で車に拾ってもらう 15:50   (計4:35)
[地図] 近江川合、美濃川上 (1/25000)
[ガイドブック] 新・分県登山ガイド24「滋賀県の山」 山と渓谷社

   
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