毘沙門岳(びしゃもんだけ)                    [白山周辺] 1386m

 

 毘沙門岳は、以前、ひるがの高原でXCスキーをした時に、形の良い山容を見てずっと気になっていた。道のない山だったが数年前に登山道が開かれたという。しかし、雪の姿が最初だったので積雪期に行きたいと思い、昨年買った スノーシューを使って、初めてのスノーシュー登山とすることにした。

ひるがの高原からの毘沙門岳はこちら 

 スノーウェーブパーク 白鳥高原スキー場の入口で駐車料金を払って車を止め、スノーシューを履いてゲレンデの端を歩きだす。ゲレンデにはスノーボーダーが多い。少々風があるが、予報どおり天気はいい。

  リフトに沿って緩やかに登っていくと、リフト降り場から係員が出てきて呼び止められる。規則で決まっているから下まで戻って事務所に行ってくれと言う。せっかくここまで登ってきたのだから 、ゲレンデを出て隣の尾根の登山ルートに行くからと言ったが、とにかく戻ってくれと腕をつかんで行かせてくれない。しばし押し問答。まあ、黙ってゲレンデに入ったこちらが悪いんだし、この青年を困らせてもかわいそうだからと、インターフォンで連絡してくれた事務所の指示に従い、リフトで降ろしてもらった。
 しかし、事務所では何か書類を書くとかいう訳ではなく、登山道の入口を示すだけ 。そんなことなら上からゲレンデの外に出してくれればいいのに、と思ったが、もし遭難したときに自分の敷地を通って登っていると責任を問われるのだろうか。裏口から追い出すより、玄関から叩き出したかったのだろうか、と思えてしまう。
 

  駐車場の脇に登山道を示す標識があるが、駐車場を除雪した雪が山になっていて、越えるのに苦労した。登山道を通らせたいのなら、入口くらい開けておいてくれよ、と言いたくなる。

  雪に埋もれた林道を少し進んで、適当な所から尾根に取り付く。急な斜面を強引に上がると、上はミズナラ林のなだらかな尾根になっている。先ほどのゲレンデの直ぐそばだ。少々幹が細いが、気持ちのいいミズナラの林だ。
だいぶ時間をロスしたと思ったが30分程のことで、こんなことなら素直に戻っていれば嫌な思いをしなくて済んだのに、と反省する。でも、自然に急ぎ足になってしまう。
 

ミズナラの林
 
  林を登りきるとリフトの最高点で、目の前にやっと毘沙門岳が現れる。雪をまとった、凛々しい姿だ。
 最後の登りはかなり急な感じでどこを登るのか少々不安になる。頂上直下の右手の斜面にはシュプールが付いているので、スキーヤーも登るのだろう。
スキー場最上部からの毘沙門岳
 
 スキー場から1201mのピークまでは尾根をたどる。右側はブナ林で、左側は雪庇。かなり厚い雪庇だが、崩れそうな感じは無い。でも怖いのでやはり樹林寄りを登る。スキーのトレースもあるが、雪面が波打っていて、僕の技術では難しそう。スノーシューでよかった。

 1201mのピークの先は急な下り。踏み跡をだどって下り始めたが、雪が腐っていてスノーシューの歯が利かない。ずるっと滑って尻餅をついたら、そのままズルズルとシリセードで10mほど滑り落ち、ブナにぶつかって止まった。腐れ雪の下りはスノーシューでは難しいようだ。

1201mのピークに続く尾根(雪庇ができている)
 
  鞍部からなぜか杉の苗木が植わっているコブを越えると、最後の急登の前の鞍部になる。標識が立っていて、右に下ると林道とある。急に風が強く当たるようになってきて、帽子が飛ばされそうだ。
 
地吹雪
 
大日ヶ岳
 
 最後の登りは急ではあるが、まばらにブナなどが生えていて、滑っても鞍部まで落ちることはなさそう。ここも左手は雪庇で、樹があるところを登る。北斜面なのでクラストしていて、スノーシューの歯が利いてかなりの急斜面でも登っていける。登り始めが一番急で、だんだん楽になってくる。
 
 そのかわり風がきつくて、地吹雪が舞い上がり、油断をするとバランスを崩す。今日はまだ陽射しがあるからいいようなものの、気温が低かったらたまらない。

 背後の大日ヶ岳がだんだんせり上がってくる。イトシロシャーロットタウンスキー場に続く尾根も、なだらかに起伏が連なり気持ちが良さそう。

石徹白三山 (左から小白山、野伏ヶ岳、薙刀山)
 
毘沙門岳山頂(背後は鷲ヶ岳)
 
西山(背後に奥美濃の山が並ぶ)
 
  傾斜が緩くなって、なだらかな丘のような感じのところが山頂だった。目の前が急に開けて隣の西山が飛び込んでくる。西山の向こうには奥美濃の山々がパノラマになって広がる。黄砂の影響で霞んでいるのが残念だが、左手の滝波山から右に能郷白山らしき白い山まで 、なんとか薄っすらと見える。その右手には荒島岳も見えている。
 背後にはずっと見えていた大日ヶ岳が大きくそびえ、そこから石徹白を囲む山々が連なっている。一番奥は三ノ峰、別山、白山と続く。一番気になるのは野伏ヶ岳で、カールのような斜面が特徴的。道のない山で、残雪期のルートになるダイレクト尾根を双眼鏡で観察するが、まだ雪で真っ白だ。東側は長良川の源流が広く開け、その向こうに鷲ヶ岳が独立峰のように立ち上がっている。    
 北西側が樹林になっていて360°とはいかないが、大展望であることは間違いない。しかもこの眺めを独り占めにしているのだから贅沢なものだ。

 風を避けて、ピークから少し降りたところで昼食とするが、カップヌードルがどんどん冷たくなっていく。今日は風は弱いという予報だったが、やはり山は違うようだ。そそくさと食べ終わって、下山にかかる。

 雪がかなり締まっているのが分かったし、スノーシューの急な下りは自信がないので、壺足で降りることにした。ときどき硬いところがあって滑りそうになるが、ほとんど踵でステップが切れる快適な雪面だった。
 

 とんとんと下っていると、山スキーを履いた二人連れが登ってきた。急斜面を斜めに登ってくるが、なかなか大変そう。もう直ぐ頂上ですよ、と声をかけてすれ違う。
 鞍部まで降りれば風が弱まり、1201mピークに登り返せば、あとはなだらかな下りばかり。スノーシューを再び履いて鼻歌交じりで下る。最後のミズナラ林も正面に大日ヶ岳を眺めながらの快適な下り。スキー場に寄り過ぎないように気をつけながら、最後は沢のくぼみを下って林道に降り立ち、駐車場に戻った。

 最初はちょっと躓いたが、変化のあるルートのいい山だった。さあ、次は野伏ヶ岳だ!

雪庇と雪模様

 

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[山行日]   2004/3/13(土)
[天気] 快晴
[アプローチ] 東海北陸自動車道白鳥I.C. →(R156)→ 郡上市前谷 →(県道)→ スノーウェーブパーク白鳥高原スキー場   [約20km]

・桧峠付近は道の両側に1mくらいの雪の壁があるが、路面には雪は無い。

・スノーウェーブパーク白鳥高原スキー場 駐車料金1000円
[コースタイム] 9:50 白鳥高原スキー場駐車場 (0:40) リフト終点 (0:10) 1201mピーク (0:10) 鞍部 (0:30) 毘沙門岳山頂 (0:30) 1201mピーク (0:40) 白鳥高原スキー場駐車場 13:20     (計2:40)
[地図] 石徹白(1/25000)
[装備] スノーシュー (デナリ クラシック)
[積雪量] スノーウェーブパーク白鳥高原スキー場の積雪量 290cm

 

 [温泉] 満天の湯   TEL0575-86-3487
・白鳥高原スキー場入口の向かいにある温泉。
・入浴料 700円
・ボディーソープ、シャンプー、ドライアーあり。
・露天風呂の外はウイングヒルズスキー場。もう少し回りの樹が少ないと野伏ヶ岳がよく見えるのに、残念。

   
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