越後駒ヶ岳( えちごこまがたけ)                         [上信越] 2003m

 

 百名山完登まで、あと一桁に迫ったMoさんが企画した、越後駒ヶ岳&平ヶ岳ツアー。参加者は5人。
 Oさんの運転するセレナに同乗して、夜8時、名古屋の地下鉄本郷駅を出発。東名、中央道、長野道、上信越道、北陸道、関越道と高速を乗り継ぎ、小出ICで降りる。樹海ラインという名前だけは立派だが、1車線の3桁国道を枝折峠まで登る。狭い上にガスまで湧いてきて、見通しの悪い夜の山道の運転は神経を使う。高速に引き続き一人で運転して頂いたOさんには感謝のしようがないが、当人は「いやー、運転は好きだから、全然気にならないよ。」と 涼しい顔でおっしゃる。

 2時間ほど車中で仮眠をとり、明るくなってきた4時半ごろから身支度を始める。しかし、明け方から降っている雨は止みそうもない。今年はもう8月 になろうとしているのに、まだ梅雨が明けていない。九州南部と、フライングっぽい梅雨明け宣言をしてしまった関東地方以外は梅雨が明けておらず、このままでいくと梅雨明け の最も遅い記録を更新すると気象庁は言っている。山口県では死者の出る集中豪雨もあった。道中の車内でも、「ほんとに登れるんだろうか?」 「温泉だけで帰る羽目になるんじゃないか。」と心配の声しきりであった。

 しかし、雨は降り続いているものの、雲の切れ間も見え始めたので、Moリーダーの決断により 予定より30分遅れで、雨具を着て出発することになった。

 登山道は駐車場横のトイレの裏の階段から始まり、しばらくは広い砂利敷きの遊歩道のような所を歩く。じきに尾根どおしの山道になり、銀山平からの道を合わせる 。
 明神権現の祠の前を通り、ちょっとしたピークを上がったところに明神峠の標識があった。峠らしからぬところだ。
 雨はほとんど止んできて、前方のガスの切れ間に越後駒の大きな山体が見えた。見上げれば、少し青空も覗いている。「お、意外と行けるかもしれない。」ちょっと希望が湧いてきた。

ガスが切れ、越後駒が見え始めた
 

 

クロヅル ノリウツギ
 

 ここから次の道行山までは小さなアップダウンが続く。スパッツと雨具のズボンは着けたままだが、上は脱いでしまった。
 左手には長々と稜線を伸ばした荒沢岳の大きな塊があるが、山頂付近にはまだ雲がかかっている。山道の周りはリョウブ、クロヅル、ノリウツギ、コメツツジなど白い花が花盛りだ。

道行山山頂からの越後駒ヶ岳(右)、中ノ岳(左奥)

 登山道は道行山の山頂を巻いているが、皆が休憩をとっている間に、頂上まで行ってみた。刈り払われた草や 枝ごと切られた木の葉に覆われて滑りやすい道を登ると、数分で山頂。おー、っと思わず声が出る。

 先ほどまで、山頂付近にかかっていた雲も取れ、すっきりと越後駒の姿が見えた。左手には越後三山の最高峰、中ノ岳も見える。それにしても駒まではずいぶん遠いなあ。天気は持ちそうだが、時間的に心配になる。

荒沢岳
 

 道行山から小倉山までの間も小さなアップダウンが続く。明神峠の標高が1236m。道行山が1298m。小倉山が1378m。水平距離は3qほどあるのだが、高さは150mしか稼げない。
 おまけに雨上がりということもあって、いたるところぬかるみだらけ。 草の生えた道の脇ぎりぎりを歩いたり、誰かが泥の中に投じた木の上を飛び石のように跳ねたりして、なるべく泥にはまらないように歩くのは大変だ。
 平ヶ岳はぬかるみが多いと聞いていたので覚悟の上だが、越後駒の登山道がこんなにぐちゃぐちゃだとは思わなかった。スパッツは泥だらけ。これで雨が降り続いていたら、前進する気にはなれなかっただろう。

ぬかるみが続く
 

 小倉山も登山道は巻いているが、再びガスがかかり始めたし、泥道にめげてピークをピストンする気になれなかった。結局、ガスはどんどん濃くなって越後駒の全景が眺められたのは道行山山頂だけだった。

 小倉山から少し下った後はだらだらした登りが続く。笹がかぶり始めて展望が利かず、相変わらずのぬかるみに閉口する。

 百草ノ池は周りが笹で覆われていて、登山道わきに標識が立っているだけで水面は見えない。ここから傾斜は一気にきつくなる。

 雲で陽射しが遮られているのでまだマシだが、カンカン照りだったらさぞきつい登りになることだろう。それでも周りが灌木で風が通らず暑い。ぬかるみが無くなったのはありがたいが、登山道が流水に掘られて溝状になっていて、しかも溝の底に石がごろごろしていて足元が不安定だ。

小さく丸く見える百草ノ池 (下山時撮影)
 

 前駒まで登ったところで、Maさんがこれ以上登らず、ここで待っていると言う。初めての本格的な登山で、山頂までたどり着く自信がないようだ。予定の時間よりもだいぶ遅くなっているので、他のメンバーの迷惑にならないようにと気を使われたのだろう。残念ながら他の4人で山頂を目指す。

 前駒を過ぎると傾斜はますます急になり、岩場を登るようになる。灌木が消えて草原になり、谷に残る雪渓の周りをニッコウキスゲが飾っている。
 僕らがまだ躊躇しているときに、雨の枝折峠を一足早く出発した中高年の三人組がもう下りてきた。今日は平日ということもあり、この他に数人の登山者に会っただけだった。
 流水が流れる岩場を登り切ると、ひょっこりと駒の小屋の横に出た。水は小屋の横の水場から流れ出ていた。意外に楽に小屋まで来ることができ、こんなことならMaさんも登れただろうに、と残念な気持ち再び湧いてくる。

 正午近くなったので、昼飯にし、荷物を軽くして山頂に向かうことにする。小屋には人気がないが無人小屋ではなさそうだ。今日は金曜日なので、明日には管理人が入るのかもしれない。 小屋の入り口近くにトイレがあったので使わせてもらう。水場で喉をうるおし、ついでに泥だらけのスパッツを洗う。

駒の小屋 (背後右手が山頂)
 

 小屋から山頂へはキンコウカやハクサンコザクラが咲くお花畑の道。山頂直下の稜線には雪庇が溶け残っていて、雪の多さが想像できる。

 小屋で気を抜きすぎたのか、脚が攣りそうになり、皆から少々遅れて何とか山頂に到着。越後駒は平ヶ岳のおまけだと思っていたのだが、予想外にしんどかった。
 山頂は割と広くて、山名柱の横に三角点の標柱が立っている。驚いたことに一等三角点だった。展望が利かないのが残念だが、わずかにガスが切れた時にシルエットの八海山がちらりと見えた。

越後駒ヶ岳山頂にて
 

コシジオウレン ハクサンコザクラ
 

 小屋まで戻り、身支度を整えて下山にかかり始めた時に、束の間ガスが切れて銀山平方面が見えた。明日首尾よく平ヶ岳に登れたら、夜は銀山平に泊まる予定だ。山の間にちらりと奥只見湖の水面ものぞく。

ガスの切れ目から銀山平、奥只見湖が見える
 

 前駒で待っていたMaさんと合流。のんびり食事をし、汗を乾かしていたそうだ。

 ここからはひたすら下る。先頭に立ったリーダーは今日の宿の清四郎小屋に下山が遅くなることを連絡するため、携帯が繋がるところまで早く降りようと、すごい早足で急ぐ。僕とMaさんが遅れがちになる。

前駒付近から山頂を振り返る。
 

 小倉山を過ぎたあたりから、今度は今まで元気だったKaさんが遅れ始める。左足の膝の裏の筋を痛めてしまったようで少し足を引きずりながら歩いている。僕も写真を撮りながらの下りなので、Kaさんの後をついて、ゆっくり下る。僕自身も急ぐと脚が攣りそうなので、むしろありがたい。
 明神峠でなんとか宿に携帯が繋がって、ひと安心。皆、それぞれのスピードで枝折峠の駐車場を目指す。しかし、Kaさんの足の状態は芳しくなく、 半歩づつぐらいしか歩を進められず、本当につらそうになってしまった。 一本道なので迷うことはないとは思うものの、心配なのでずっと後をついて歩き、コースタイムの倍近くかかってなんとか駐車場までたどりついた。日が長いシーズンではあるものの、曇り空ということもあり、さすがにあたりはうす暗くなり始めていた。
 皆でOさんが車に積んできたスイカを食べ、なんとか登り終えたなあ、と皆感慨ひとしお。さて、清四郎小屋に急ごう。

平ヶ岳へ続く

 

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[山行日] 2009/7/31(金)
[天気] 雨のち曇り
[アプローチ] 関越自動車道 小出IC (R352号 、樹海ライン)→ 枝折峠    [約25km]
      
・R352の大湯温泉〜枝折峠間は道幅狭く、カーブ多し。走りにくい。枝折峠〜銀山平間の方がまだ走りやすい。
・枝折峠に駐車場、15〜6台駐車可。トイレあり。水なし。
[コースタイム] 6:00 枝折峠 (0:35) 銀山平分岐 (0:10) 明神峠 (1:10) 道行山 (0:50) 小倉山 (0:50) 百草の池 (0:40) 前駒 (0:25) 駒の小屋 (0:20)
12:35
越後駒ヶ岳山頂12:55 (0:15) 駒の小屋 (0:20) 前駒 (0:20) 百草の池 (0:25) 小倉山 (0:35) 道行山 (0:55) 明神峠 (0:45) 枝折峠  17:20 
(登り:4:50+下り3:40=計8:30)
[帰り] 枝折峠 → 銀山平 (R352号、樹海ライン)→ 鷹ノ巣、清四郎小屋    [約38km]
[地図] 八海山 (1/25000)

 

 

 

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