富士写ヶ岳( ふじしゃがたけ) [白山周辺] 942m |
夕方家を出て、北陸自動車道を北に向かう。目的地は登山道がカタクリに埋まるという大日山。 翌朝、まあ3Kmだからと車止めを越えて歩き出す。道は所々残雪に埋まり、雪崩で痛んではいるが、歩きなら危険は無い。40分ほどの歩きで、案内板の立つ登山口に 到着。しかし、残雪で道が分からない。先行者がいたのだが、登山者ではなく釣人だったようで、雪の上に足跡は無い。あてずっぽうに進んでみるが、すぐにネマガリダケに行く手を阻まれてしまった。
撤退も頭をよぎるが、地図を見ると登山道は沢に沿って延びている。登山口からすこし先にいった橋のたもとから沢を辿ってみると、登山道らしき道が見つかった。 しかし、沢を横切るところで行き詰ってしまった。さほど幅は広くないが、雪融けの水が沢跳びの石の上を激しく流れている。行って行けないことはないが、滑ったら確実に膝まで浸かる。通行止め、残雪に続き3つ目の障害だ。この先も道は不案内だし他に登山者もない 。残念だがここで諦めることにする。 だが、まだ時間はある。車まで戻り第二候補だった富士写ヶ岳に向かうことにする。 |
山中温泉を抜け、我谷ダムの富士写ヶ岳の登山口まで来てみると、駐車場から車があふれ、路肩にずらりと並んでいる。こちらは人気の山のようだ。大日山とはえらい違い。ガイドブックによればシャクナゲで有名な山らしく、きっと今が花のシーズンなんだろう。 もう10時なので、皆登ってしまっているだろうと思ったが、歩き始めた僕の後ろからまだ何組も登ってくる。ホントに人気の山らしい。 |
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我谷ダムに架かる吊橋 |
新緑に覆われたダム湖を真っ赤な吊橋で渡り、尾根に取り付く。
尾根の上も輝くばかりの緑。コナラやリョウブの明るい緑の根元を、ユズリハやアオキの濃緑が締める。道の脇にはチゴユリが一面に花を付けている。 気持ちのいい明るい尾根道だが、傾斜はきつい。歩きはじめで足元が定まらないうちに、ロープを張った急坂が続き、たちまち息が上がる。 |
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新緑の登山道 |
送電線の下の刈り払いから、山頂が望めるが遥かに遠い(後でこのピークは前衛峰であることがわかる)。再び樹林に入るが、樹種はミズナラに変わり、ブナも混じり始める。 シャクナゲは一向に現れないが、緑一色の中に、椿が赤い花を添えている。ユキツバキだろう。残雪のある時期に咲くものだと思っていたが、まだよく咲いている。 |
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ユキツバキ |
ミツバツツジもちらほら目に付くようになる。分布からするとユキグニミツバツツジということになる、葉の裏の毛を調べると、ユキグニミツバの特徴を示している。昨年、医王山で撮り損なったのでうれしい。ツツジコレクション、1品追加となる。 | |
ユキグニミツバツツジ |
道は急登と緩傾斜を繰り返しながら、ひたすら登っていく。登山者が立ち止まっているので何かと思えば、やっとシャクナゲが現れた。もう、やや遅いくらいで、色も白っぽい。シャクナゲが有名というがこんなものかと思ったが、ソンナモノデハ無カッタ。 それからは道の脇に次々に群落が現れる。同じようなアングルだと思いつつ、新しい花の群れが現れるとついついカメラを向けてしまう。花は蕾のうちはピンク色が濃いので、高度が上がるにつれて鮮やかになってくる。 地元の人だろうか。下山してくるおじさんが |
ホンシャクナゲ |
ブナ林の下に広がる群落 |
樹林が一旦途切れ尾根の上に出ると、中山温泉の向こうに加賀平野と日本海が霞んでいた。目の前が山頂のピークだが、これも新緑に覆われ緑の滝のようだ。 花は美しいがだんだん足が上がらなくなる。よく考えれば、今日は大日山の山麓で2時間以上歩いているのだ。最後のブナ林の急坂で、足が攣りそうになったが何とか山頂にたどり着いた。 |
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右奥が富士写ヶ岳山頂(左は前衛峰) |
山頂は直径20mほどの丸い広場になっているのだが、思ったとおり人でいっぱい。木陰がないのでどこにいても正午の直射日光を浴びなければならないのだが、皆、なんとなく広場の縁の方で弁当を食べている。 僕もわずかに空いた隅のほうに腰を下ろす。陽射しはきついが、風は爽やかだ。 |
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山頂 |
天気が良すぎて少し霞がかかっているが、緑の山並みの向こうに、登ろうとしていた大日山が加賀甲も従えて大きく見える。谷ごとに白い筋を引き、周りの山と比べてみても一際残雪が多い。その左手には白鯨の背のような白山が、さらに霞んで巨体を浮かべている。 もう少し早い時間なら、すっきりした展望も楽しめただろうが、まあ、それは仕方ない。第二候補ではあったが、花も十分楽しめたし、新緑のシャワーも浴びたし、十分満足して下山にかかる。 |
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大日山 |
下りは北東に延びた尾根を枯淵に向かう。登ってきた我谷からの道を左に見送り、真っ直ぐ進むと前衛峰の登りになる。ほんのわずかな登りだが、足が重くて上がらない。前衛峰の先に展望が利くところがあり、再びの白山と加賀平野の広がりを楽しむ。後は下り一方の道。 ガイドブックによればこちらの道にもシャクナゲが多いとあるが、見慣れてしまったせいもあるのか、我谷ルートの方が多い気がする。疲れが溜まってきて足に力が入らず、引力に任せてただひたすら下る。
道は途中から尾根をはずれ、沢沿いの道になる。沢水で顔を洗って汗を流し、一息ついてまた下山。この山で初めて出会う杉の植林地を抜けると、阿曽橋のたもとの登山口に着いた。右手には地図に無い新しいダムがそびえている。
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[山行日] | 2005/5/3(火・祝)〜4(水) | |
[天気] | 快晴 | |
[アプローチ] | 3日 北陸自動車道 加賀I.C. →(R8)→
小松市東山町
→(R416)→ 小松市新保 [約48km] ・新保集落のはずれで道路崩壊のため通行止め。車中泊。 4日 新保 →(R416)→ 小松市江指町 →(県道11号)→ 粟津温泉 →(県道11号)→ 山代温泉 →(県道11号)→ 山中温泉 →(R364)→ 我谷ダム吊橋 [約50km] |
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[コースタイム] | 10:00 我谷吊橋 (0:30) 送電線鉄塔 (1:20) 展望のきく尾根 (0:30) 富士写ヶ岳山頂 (1:00) 沢の水場 (0:20) 阿曽橋 (0:25) 我谷吊橋 14:45 (計4:05) | |
[地図] | 越前中川、山中 (1/25000) | |
[ガイドブック] | アルペンガイド「白山と北陸の山」 山と渓谷社 |
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[温泉] |
丸岡温泉「たけくらべ」 ・福井県坂井郡丸岡町山竹田、国道364号そば。 ・入浴料500円 ・露天風呂なし。シャンプー、石けん、ドライアーあり。 ・普通の温泉だが、賑わっていた。 |