奥医王山( おくいおうぜん)                    [白山周辺] 939m

 

  金沢、能登ドライブのついでに医王山に登る。医王山は大池平や鳶岩のあたりが核心部になるらしいが、ドライブの合間で時間がないため、とりあえず最高峰の奥医王山に登ることにする。

 福光ICを降りると既に目の前に医王山の山なみが横たわっている。田植え間近の水が張られた田んぼに姿を映す医王山は鮮やかな新緑に彩られているが、左端の奥医王山の山腹だけはスキー場のゲレンデに削られて痛々しい。

 そのスキー場近くから林道に入り、夕霧峠を目指す。途中、スキー場のゲレンデを横切り、峠に近づくと林道の脇に雪が残っている。1000mに満たない標高なのに、さすがに雪国北陸の山だ。

医王山、左端が奥医王山
 
 峠には駐車場はないが、道の脇にスペースがあり、既に20台近い車が止まっている。石川ナンバーの車が多いが、山梨、三重などのナンバーも見えてゴールデンウィークらしい感じだ。
 
  まずは、峠近くに建つ展望台に登ってみる。登ってきた富山県側は有名な散居村で、田んぼの中に屋敷林に囲まれた家々が散らばっている。田んぼに水が張られているので、小さな島が浮かんでいるように見える。その向こうは北アルプスの白い峰々。一番 右の尖っているのはおそらく剣だろう。

  石川県側は緑の山裾が広がり、その先の緑の平野に続いている。金沢の街のビルがその中に灰色っぽく見える。その向こうは一直線に区切られて日本海。水平線は霞んで見えない。

富山県側の散居村と剣岳方面
 
 捻挫の痛みが長引いている女房を車に残し、奥医王山へ向かう。登山口には小さな木の鳥居が立っていて、それをくぐって登り始める。

 少しの間急登が続くが、足元にはスミレやショウジョウバカマが咲いているし、両側は新緑のブナ林だし、足取りは軽い。登りきると背後に続く医王山の山並みが見渡せる。少し茶色の地肌が見えるのは白兀山だろう。

展望台から奥医王山へ続く稜線
 
 平らな尾根道を進み一旦下ると左側に龍神池がある。池はまだ覆われていた雪がやっと解けたところといった感じだ。

 進むにつれて残雪が多くなり、道が雪に埋まっているところもある。マンサクが咲き残っていて、早春の山のようだ。ただ、雪の解け方も激しくて、一面水溜りになっていたり、川のようになっていたりして足の置き場に困る所もある。今日は金沢のホテル泊まりなので、転ばないように、ズボンを汚さないように慎重に歩く。

龍神池
 
 登山口から30分弱で山頂に到着。中年の3人組が食事中。そばに三角点の石柱があり、一等三角点だった。

 錆びだらけの鉄製の展望台があり、はしごで上がってみるが周りの木が高くて展望はあまり利かない。かろうじて南のほうに白い山がのぞいている。きっと白山北方の大門山、大笠山あたりだろう。手すりが今にも根元から倒れそうで、あまり長居はしたくない展望台だ。

大門山(左)、大笠山(中)
 
 山頂の南側に傾きかけた小屋掛けがあったので覗いてみると、三角屋根の下に小さな祠があって、そばの書き付けに白山医王権現とある。三角屋根が雪でつぶれかけていて、比較的新しい祠も屋根に押されて傾いている。

 医王山の「医王」とは医薬の仏である薬師如来の別称ということで、医王山は昔から薬草の山として知られていたらしい。医王権現は薬師如来が神として権(かり)に現れた姿を祀ってあるのだろう。

 

白山医王権現の祠
 展望もなく、食べ物も持っていないので、そのまま来た道を帰る。下りはぬかるみで滑りそうで、登りよりももっと慎重になる。

 太平洋側にはないミツバツツジの一種の「ユキグニミツバツツジ」探しながら下ったが、つぼみを付けたのを一株見つけただけ。たった一輪だけ咲いているのがあったが、谷のほうを向いて咲いていて、うまく写真に取れなかった。残念。家の近くに多いコバノミツバツツジのように、日本海側ならどこにでもあるというものではないらしい。

スミレサイシン
 
 峠まで戻ると女房は車の中で昼寝をしていた。朝が早かったので僕も一眠りしたいくらい。
 金沢へ下る林道は新緑に覆われ、車窓からの風も爽やかで気持ちのドライブだったが、兼六園の回りは目茶苦茶混んでいた。古都散策も決して嫌いではないのだが、やはりゴールデンウィークは人が多過ぎる。山の上に戻りたくなってしまった。

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[山行日] 2004/5/3(月・祝) 
[天気] 薄曇り
[アプローチ] 東海北陸自動車道 福光I.C. (県道)→ 福光町広谷 →(林道菱池広谷線)→ 夕霧峠   [約15km]

・福光インターから広谷まではイオックス・アローザスキー場の看板に導かれる。
・イオックス・アローザスキー場からオートキャンプ場の看板を目あてに進んでも、 林道菱広線に出るようだが未確認。
[コースタイム] 11:00 夕霧峠 (0:25) 奥医王山山頂 (0:25) 夕霧峠 12:00   (計0:50)
[地図] 福光 (1/25000)
[ガイドブック] アルペンガイド「白山と北陸の山」 山と渓谷社

   
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