岩岳(いわたけ)                        [奥三河] 1050m

 

 木曽の横川山と南沢山に登るつもりで家を出てきたが、どうも空模様が芳しくない。体調はいいのだが、どうも気分的に遠出をしたくない。さんざん迷った末に岡崎市内で方向転換して稲武の岩岳に向かう。
 地図は持ってきてないが、以前、段戸山に登ったときに登山口の標識は見ているし、ガイドブックでは一本道だったと記憶している。何とかなるだろう。

  道はすいていて、8時前に登山口の林道の分岐に着いてしまった。黒田川沿いの駐車スペースに車を止める。他に車はない。段戸山は川に沿って南へ行くのだが、岩岳は標識に従って分岐する林道に入る。標識には3km60分とある。楽勝である。

 すぐに林道から山道に入るものと思っていたが、林道はどんどん奥へ続いていく。少々不安になるが、時々登山口に立っていたのと同じ形の標識が出てきて、道が間違ってないことが分かる。日差しはきつくないし、カッコウやオオルリの声が聞こえてきて快調に進むが、いったいどこまで林道が続くのか。林道沿いは広く伐採され、桧の植林がしてあるところが多い。西には大きく段戸山が横たわっている。
 

林道から東を見ると段戸山
 
広い植林地
 

 45分も歩いてやっと林道の終点に到着。そのまま踏み跡を登っていくとすぐに稜線の登山道に出た。左からよく踏まれた道が登ってきている。標識には山頂と反対方向に小さく駒ヶ原と書いてある。これがガイドブックに載っている道のようだ。登山口の標識が正しければ山道を歩けるのはわずか15分ということになる。悲しい。

 稜線の道は伐採地と雑木林の境を緩やかなアップダウンを繰り返しながら続いていく。林道沿いも多かったが、山道にもコアジサイがたくさん咲いている。
コアジサイは好きな花だ。装飾花がない姿はアジサイらしくないが、微妙な青紫の花は粋な感じがする。秋の黄葉も透明感があっていい。
 

コアジサイの花
 
登山道沿いにたくさん咲いている
 
 伐採地が途切れ、道は雑木林の中に入っていく。少し下ったところで正面に突然大岩が現れる。ここで岩岳の由来がやっと分かる。大岩を右から巻き気味に登ったところが山頂だった。かなりのんびり歩いてきたが、きっちり1時間だった。
 
山頂直下の大岩
 
山頂から大鈴山方面を望む
 

 山頂は狭い。一角を岩が占めていて、そこからは南と東の展望が開ける。曇りがちで遠くまでは見えないが、納庫(なぐら)の集落や田んぼの向こうに大鈴山や明神山がシルエットになっている。足元はゴルフ場で南には仏庫裡(ぶくり)が大きい。

 山頂には途中で追い越していった夫婦連れが休んでいた。豊川から来たとのこと。「奥三河で熊が射殺されたと新聞に載っていたので、登山口の熊注意の看板が気になって怖かった。」と言っていた。今回山中で出会ったのはこの夫婦だけ。この二人には後で「どんぐりの湯」の入り口でも会った。

 夫婦連れが先に下りていったので、岩に腰を下ろしておにぎりを食べる。まだ9時過ぎなので遅い朝食といったところだ。岩の下は切り立っていて、覗きこむと少々体がこわばる。目の前をイワツバメがすごいスピードで通り過ぎていく。
 

 帰りも林道歩きでは芸がないので駒ヶ原への踏み跡をたどる。しばらく稜線の伐採地境をたどると道が二手に分かれている。左は同じような伐採地境の踏み跡だが薄い。右は樹林の中へ入っていくよく踏まれた道だが薮がかぶっている。少し迷ったが右の道を行く。

 薮を掻き分けなければならないのは100mほどで後は歩きやすい道になった。展望がないやや暗い樹林の中だが、背の低いアズマザサが続いていて気分良く下る。地図がないので少々不安だが、コンパスを見れば方向は間違ってないようだ。

森の中を下る
 
 なおも下ると、道は送電線の巡視路に出た。下りてきた踏み跡を示す小さな黄布が下がっているが、標識がないので登りでは迷いそうだ。
 左に行くとすぐに鉄塔の下に出る。稜線を離れて送電線沿いの道を下っていくと小さな沢沿いの道になり、じきに砂利道に出た。登山口の手前にあった農園の奥に出てきたようだ。

 この農園はシンビジウムの避暑用らしく、黒い寒冷紗に覆われた棚があたり一面に作ってある。砂利道を歩いて農園を抜け、入り口の鉄扉の横をすり抜けて林道に出た。少し上流に戻ると登山口だった。

スイカズラ
 
 下山に使ったルートは林道よりも山歩きの気分が味わえる道だが、標識が少ないので登りにはあまりお勧めではない。
 気分の良い森歩きを期待したのだが、ちょっとはずしてしまった。でも、コアジサイをたくさん見られたから、まあいいか。

 

アイコンをクリックするとマップがでます。 <田口(1/50000)>


[山行日] 2002/6/23(日) 
[天気] 曇り時々薄日
[アプローチ] 岡崎 →(R248)(県道39号)→ 足助町 →(R153)→ 稲武町高田木 →(町道)→ 段戸山牧場→駒ヶ原→岩岳登山口  [約60km]
・3〜4台駐車可。
 
[コースタイム] 岩岳登山口 (0:45) 林道終点 (0:15) 岩岳山頂 (0:30) 送電線鉄塔 (0:15) 岩岳登山口     (計1:45)

 

[ガイドブック] 分県登山ガイド「愛知県の山」 山と渓谷社
林道コースのガイドは記載されていない。
 
[温泉] 稲武温泉「どんぐりの湯」  tel 05368-2-3135
・「道の駅いなぶ」に併設された温泉。
温泉に隣接する福祉センターの工事中に、3千年前の縄文人が食料に貯えたどんぐりが出土したことから命名された。

・入浴料600円。水着着用の健康クアゾーンもあり、共通利用券1200円。
・浴室が広くゆったりしている。サウナ、檜風呂、週代わりの薬湯もある。
・シャンプー、ドライアーあり。
・露天風呂もあるが、狭いうえに駐車場しか見えず、情緒は無い。

   
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