車山(くるまやま)                        [中信] 1925m

 

  女神湖近くのホテルの朝は予想外の快晴だった。夜半の雨がすっかり空気を入れ替えたようで、澄んだ青空が広がっている。なだらかな高原の稜線の向こうには白い山々ものぞいている。今の季節にこんな天気はめったにない。こうなったら霧ヶ峰に登らなくては。
  佐久へ向かう予定を変更して車山に向かう。

 

白樺湖付近からの蓼科山
 

 ビーナスラインの車山肩の駐車場は意外にすいていた。白樺湖付近では満開だったレンゲツツジも、このあたりではまだ早いからだろうか。

 レストハウス裏の高みに上ると西側の展望が開ける。霧ヶ峰の草原はまだ茶色がかった春の色で、幾つかの起伏を連ねて美ヶ原に続いている。その向こうに北アルプスの白い峰が並んでいる。穂高連峰の北には黒々と槍の穂先が尖り、常念、後立山と続いて、鹿島槍のあたりで美ヶ原の台地に遮られる。
 北アルプスの南には乗鞍、御岳、中央アルプスと連なっている。北を振り返れば蝶々深山の肩に浅間山が覗いている。風が強いためか、噴煙が横になびかず、斜面を舐めるように下っている。
 

車山肩からの北アルプス(常念岳から鹿島槍ヶ岳あたりまで)、右端は美ヶ原

 

 さて、車山に登ろう。ここから見上げると以前は無かったレーダードームが建っていて、頂上は目と鼻の先に見える。ところが歩き始めてすぐのところで、高山植物保護のために直登ルートは閉鎖されていた。どおりで下から眺めても人影が見えないはずだ。登山道は斜面を巻いて緩く南に続いている。

 直登すれば20分もあれば登れるだろうと思っていたがとんだ誤算だ。駐車場で待っている女房には1時間で戻ると言ってあるので、急がなければならない。

車山山頂を見上げる。ぽつんと見えるのがレーダードーム
 
ビーナスラインの車山肩。遠くは槍穂連峰
 

 道は山腹を巻いてどこまでも続いていくので、そのまま車山スキー場の方へ行ってしまうのではないかと心配になったが、支尾根を越えたところで向きを変え、大きくS字を描いて斜面を登って行く。さいわい花が少ないのでわき目も振らず、何組ものグループを追い越してひたすら歩く。山頂に着いた時には、風が強いのに背中は汗びっしょりだったが、なんとか25分弱で登れた。

 

車山山頂からの八ヶ岳連峰と南アルプス。間に富士山がのぞいている。
 
 山頂のドームは思った以上に巨大で、山頂の八ヶ岳側の展望を遮っている。どうやら気象用のレーダードームらしい。登山リフトで登って来たと思われる観光客風の人々も混じり、山頂は大賑わいだ。
 ドームの南側に回ると車山肩からは見えなかった八ヶ岳連峰の展望が広がる。赤岳の付近にはまだ残雪が光っている。広々とした裾野の向こうには富士山もはっきり見える。右に目を転ずると南アルプス北部の山々がそびえていて、ピラミダルな甲斐駒と仙丈がひときわ大きい。北の方には浅間山だけでなく、戸隠の山々も見える。昨日、守屋山でかなわなかった360度の展望をここで満喫することができた。
 

 山頂の一角の祠の前では多くの参列者を集めて山開きの神事が行われていた。神官の白い装束が強い風にはためいている。お神酒の振る舞いでもあるかと思ったが、さすがにそれはなかった。神官はあの格好のままでリフトに乗って降りていくのだろうか。

 山頂の広場の縁を一周し、もう一度山を見渡してから、同じ道をまた風に吹かれながら駐車場に戻った。

 

山開きの神事

アイコンをクリックするとマップがでます。 <霧ヶ峰(1/50000)>


[山行日] 2002/6/9(日) 
[天気] 快晴
[アプローチ] 蓼科 女神湖畔 →(R248)→ 白樺湖 →(R41)→ ビーナスライン車山肩駐車場   [約15km]
[コースタイム] 車山肩駐車場 (0:25) 車山山頂 (0:20) 車山肩駐車場     (計0:45)
大急ぎでした。

   
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