大立( おおだて )                            [奥美濃] 578m

 

 3連休だが、日曜日は仕事。あまり遠くへ行く気力もない。先月の柳ヶ瀬山で味を占め、またスノーシューでのんびり歩きたいと思い、前から気になっていた久瀬村(ついこの間の1月31日から揖斐川町になってました。)の大立に行くことにした。

 国道303号の久瀬トンネルを抜け、すぐ左のわき道に入った所で車を止める。 車から降りると青空なのに、はらはらと雪が舞っている。近くの杉林に積もった雪が、風に吹かれて落ちてくるようだ。昨日はこのあたりは雪だったらしい。
 身支度を整えて出発。トンネル脇の階段を上り、大立から北に延びた尾根の先端の北斜面に取り付く。
 
 高圧鉄塔の巡視路を示す黄色いプレートが道標替わり。No24の鉄塔を目指す。
 周りは一面杉の植林地で、もう少し時期が遅かったら花粉症の僕にはとても登れない。しばらく右手にトラバース気味に進み、あとはひたすら急斜面をじぐざぐに登る。

 踏み跡ははっきりせず、おまけに雪が斑に残っていて、余計に分かりにくい。古い足跡が雪のあるところには残っていて、それを探しながら登る。雪の部分は凍っていてむしろ歩きやすいのだが、雪のない杉の下は湿った土で滑りやすい。バランスを取るためにストックに力が入る。

杉林のトラバース。まだこのあたりは雪が少ない。
 
  時々現れる巡視路のプレートを拾いながら、少しづつ高度を上げていく。標高が上がると背の低い杉も出てきて、枝下をくぐるのに苦労する。木立の切れ間から津汲の街並みが見下ろせる。生コン工場だろうか、ゴンゴンという音が直ぐそばにあるように聞こえる。

 登山口からずっと雪の上に足跡が続いている。2本爪の足跡で、カモシカか猪だろうか。動物も少しでも歩きやすい所がいいとみえて、巡視路を通るのだろう。

 かなり登った所で、巡視路によくあるプラスチックの階段が現れた。道は間違っていないとほっとする。普段なら、無粋な階段に眉を顰めるところだが、今日はありがたい。
 

揖斐川の流れと津汲の街並み
 
花房山
 
 傾斜が緩くなり、杉林を抜けると平らな尾根の上に出た。目の前に鉄塔が立っている。あれがNo24の鉄塔だろう。右手には西津汲と飯盛山が間近に迫っている。あちらの稜線も気持ちが良さそうだ。

 雪原に足を踏み入れると、ぶずぶずともぐる。ヤブの上に雪が積もっているので踏み抜いてしまって歩きにくい。やっとここでスノーシューを履く。

 高圧線下まで行き、線に沿って次の鉄塔まで進む。振り返ると小津権現山が大きい。その右はひときわ白い花房山だ。 

西津汲(左奥)と飯盛山(右)

 

 No25の鉄塔からはミズナラの緩やかな尾根を登る。最初少々ヤブがうるさかったが、しだいに林床がすっきしりて歩きやすくなった。雪もよく締まってい て、スノーシューだとほとんともぐらない。

 尾根の東側は杉の植林地が続いていて風除けになって都合がいい。先ほどとは打って変わった明るい気持ちのいい道で、一人で歩くにはもったいないくらいだ。

 周りの木々は根元から株立ちしているものが多い。おそらく薪や炭にするために切られた木の株から、再び何本かの幹が伸びたものと思われる。この林はふもとの里人の燃料の供給源だったのだろう。

ミズナラの林越しに飯盛山
 
 最後の急な斜面を登ると山頂に着いた。地図にあるとおり広い山頂で、北の一角の杉林以外は、一面、ミズナラやシロモジの広葉樹の林だ。

 三角点は最高点から少し下がった所にあるようだが、もちろん雪の下で分からない。そのために今日は普段使わないGPSを持ってきた。山頂の経緯度をセットしてきたので、GPSの矢印が示す方向に進む。距離が0になったところが三角点なのだが、なかなかぴったり0にならない。止まっていても距離の数字が微妙に動く。 樹林の中で衛星を捕捉しにくいということもあるが、どうもこのGPSはあまり当てになりそうもない。
 シロモジの枝先にいくつかテープが付いているところがあったので、このあたりが三角点だろうと決めて昼飯にする。山名のプレートはひとつもない。
 

 周りは同じような林が続いている。陽射しが雪面に縞模様を描き、僕一人のために暖かさを届けてくれる。
 木立に遮られて展望はほとんどない。人工物は尾根の先にわずかに高圧鉄塔が1基見えるだけで、葉のある時期にはそれも見えないだろう。

 カップヌードルを食べていても、本当に静かだ。1時間あまり山頂にいて聞こえたものは、わずかな風音と、シジュウカラのさえずりと、どこからか流れてきた正午のサイレンの音だけだった。

 帰りは同じ道を戻る。

ここを山頂にした

 車に戻って、キーエントリーでロックを解除しようとしたがドアが開かない。あれ、キーの電池が切れたかな、と思い、キーでドアを開ける。
 はっと気が付いてエンジンをかけようとしたがかからない。バッテリーがあがっていた。ライトが点きっぱなしになっていたのだった。車から降りるときにブザーが鳴ったのだが、ライト の警告だとは全く気が付かなかった。トンネルを出てすぐに車を止めたので、ライトを切るのを忘れていたのだった。

 携帯が通じる所だったので30分ほどでJAFに来てもらうことができたが、登山口が林道の奥だったりしたら連絡が取れずにえらい目に遭うところだった。
 エンジンはすぐにかかったが、30分ほどは止めないで下さいと言われ、楽しみにしていた温泉は諦めて真っ直ぐ家に帰った。う〜ん、残念!

 

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[山行日]   2005/2/12(土)
[天気] 晴れのち曇り
[アプローチ] 名神高速道路 大垣I.C. →(揖斐川右岸道路)→ 揖斐川町 →(R303)→ 久瀬トンネル北出口   [約35km]

・久瀬トンネル北出口すぐを左折。ゲートボール場横の路上に駐車。近くにポケットパークの水道あり。トイレなし。
[コースタイム] 9:35  久瀬トンネル北出口 (1:05) 尾根の上(目の前に高圧鉄塔No24) (0:20) 大立 (0:10) 尾根の上 (0:15) 久瀬トンネル北出口 13:20     (計2:45)
[地図] 谷汲(1/25000)
[ガイドブック] こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃[上]」風媒社
[装備] スノーシュー、ダブルストック

   
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