大鈴山(おおすずやま)1012m、鹿島山(かしまやま)912m [奥三河] |
大鈴山、鹿島山は設楽町田口の東に位置する山。山麓の池葉守護神社から鹿島山を経て、大鈴山をピストンするコースは、手軽なハイキングコースとしてほとんどのガイドブックに載っている。 しかし、岩古谷山近くの堤石峠から稜線伝いに平山明神山をかすめて大鈴山に至るコースは「難路」とされているだけで、あまり詳しい紹介がない。わずかなガイドブックに「稜線の岩場には危険な箇所もあり、踏み跡もはっきりせず、アップダウンの激しい上級者向きコース」というような記述がある。このコースが使えれば麓の和市集落から左回りに周回する魅力的な稜線歩きができるのだが、ちょっと手に余るなという感じだった。 だが、最近リンクさせてもらった新城在住の「米ッチー」さんのHPに、このコースのレポートがあり、歩く人が増えてかなりコースがはっきりしてきたということが書いてあった。他のHPも調べてみると、いくつか踏破記録がある。それでちょっと不安はあるものの、日の長い今頃ならなんとかなるだろうと、挑戦してみることにした。 米ッチーさんは大鈴山から堤石峠へ縦走しているが、一番の難所は堤石峠からの明神山までの稜線の岩場のようなので、難しいところは体力のあるうちに抜けたいと考え、逆コースを行くことにした。 |
和市集落には東海自然歩道の案内板が立っていて、そこに10台ほど止められる駐車スペースがある。 堤石峠へは標識に従って東海自然歩道をたどる。杉林の下にガクウツギが咲いていて、季節感のない植林地に初夏の雰囲気を感じさせてくれている。 名前の通りの十三曲がりのつづら折を登リ切ると、そこがもう堤石峠だった。しっかりしたベンチが置いてある。 |
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ガクウツギ |
東海自然歩道はここから南に折れて岩古谷山へ続くが、明神山へは逆方向の稜線をたどることになる。見れば、その稜線の踏み跡に向かって赤い矢印が向いている。そばには「明神山 2.5km 100分」の文字も見える。どうやら意外に歩く人は多いようだ。ちょっと安心。 峠からすぐのところに露岩があって、和市の集落が見下ろせる。振り返ると岩古谷山そびえ、行く手には最初のピークが覆い被さってきている。うーん急だなあ。
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岩古谷山 |
標識に導かれて稜線の踏み跡を行くと、次第に傾斜が急になり岩場が現れる。赤い矢印がルートを示してくれていてありがたい。
岩場をトラバースしたり、直登したりして高度を上げていく。ロープが下がっている岩場もあるがあまり頼りにはならない。立木の根や幹をつかんで体を引き上げる。周りに木があるので真下を見なければそんなに怖くはない。尾根にはコナラ、リョウブ、アセビ、モチツツジなどが生えている。
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岩場をトラバースする |
時間はあるから落ち着いて、落ち着いてと自分に言い聞かせながら登っていたが、20分そこそこで最初のピークに着いてしまった。この程度のコースなら大丈夫だとホッとする。 背後の樹の間から岩古谷山が見える。これからたどる次のピークもすぐそばに見えている。
次のピークへの下りは幸いなことに岩場ではなく樹林帯の斜面だった。難なく鞍部を抜けP2にたどりつく。こちらのピークはびっしり木が生えていて周りが見えない。北寄りに進路を変えてP3を目指す。真っ直ぐ鞍部に向かうと岩の上に出てしまうので、矢印に従って右に回り込む。 |
P3の下りに1箇所岩場のトラバースがある。軍手をはずし、ホールドを確かめながら慎重に下りる。足場の方はしっかりしているので、落ち着いて下りればさほど危険ではない。 桧に囲まれた867mピークを過ぎ、少し長い斜面を木の根を掴んで登りきると明神山と大鈴山の稜線に出た。
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難所の岩場を下から振り返る |
明神まで行く気はないが、ガイドブックにあるナイフリッジはどんなところか確かめたかったので、僕も明神の方へ向かった。小さなピークを越え、立ちはだかる大岩を右から巻いて左にトラバースすると狭い尾根の上に出た。
目の前にドンと明神山がそびえている。展望が開けて、右手には鞍掛山から鳳来寺山への稜線が延びている。霞んで三ツ瀬明神山も見えている。左手は東栄町側の谷で新緑に埋め尽くされている。 |
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平山明神山 (ナイフリッジ手前から) |
おにぎりを食べながら目の前の明神山の岩壁を眺めていたら、なんとなく岩壁に踏み跡があるように見える。まさかあそこがルートでは・・・・。まさかねえ、あれでは登れない。すると、登山者が休んでいるピークに他の人影が現れた。先ほどの岩場は誰も通らなかったのであの踏み跡はルートではないようだ。 |
後から現れたグループが通り過ぎていったので、僕も次のピークまで行ってみた。こちらのピークの方が眺めがいい。
ピークは露岩になっていて。その岩が狭い尾根になって下に続いていた。どうもこれがナイフリッジらしい。そんなに危険な感じのところではなかった。これなら明神山へもさほど時間がかからずに行けそうだ。
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東栄町側の谷を見下ろす |
先ほどの分岐を過ぎいくつかのコブを越えながら道は最低鞍部のグミンダ峠へ下っていく。このあたりは踏み跡というよりも、もうほとんど登山道に近い。高度を下げるにつれて杉や桧の植林が多くなってくる。伐採されて開けたところでは、チゴユリが道端にたくさん咲いている。 グミンダ峠と思われる鞍部を過ぎて、一つコブを越えたら小さな標識にグミンダ峠と書いてあった。こっちが峠らしい。周りは暗い植林地だ。和市の方角へ踏み跡が続いている。山仕事の踏み跡のようで植林地の中だけなのかもしれないが、ひょっとしたら和市まで下りられるかもしれない。 |
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ナイフリッジから大鈴山を望む |
ここからは本日最後の大鈴山への登り。左側は植林地だが稜線の右側は落葉樹林で対照的に明るい。ちょうど稜線で色分けされていて、体半分だけ黄緑に染まりそう。稜線上にはアセビの木が多い。 道はじぐざぐを切ることなくほとんど直登していて、12月に登った鈴鹿の明星ヶ岳のようだ。息が切れて息継ぎに立ち止まること数回。脚が重くなってきたがなんとか鹿島山から大鈴山への稜線にたどり着く。樹林に覆われた稜線を右にたどると、すぐに大鈴山の山頂だった。 |
山頂付近は切り開きがされていて、真ん中に二等三角点の標柱がある。もやっていて南アルプスは見えないが、どこまでも山並みが続いている。
少し先には西側の展望が開けていて、田口の街並みが見下ろせる。稜線伝いの丸い鹿島山の山頂も上から見下ろすことができる。 |
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大鈴山山頂 |
予定よりも早く着いたので、フルーツゼリーを食べ、ゆっくり休んでから下山にかかる。鹿島山への稜線は地形図ではいくつかのコブがあるが、そんなに上り下りは気にならない。 少し長い上りを登りきると鹿島山の山頂。杉木立に囲まれて大きな岩が数個鎮座している。展望はない。 |
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鹿島山山頂 |
下山は山頂から10mほど戻って南側の斜面を下る。ひたすら杉の植林地を下ると林道の終点に出る。そばに池葉守護神社の社殿がある。山は鹿島山であるが神社は鹿島神社ではない。 社殿の背後の杉はご神木らしく注連縄が巻いてある。周囲が8mほどあるとのこと。樹齢は分からないが木に勢いが感じられ、まだまだ元気そうだ。
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池葉守護神社 |
神社の前の道は再び東海自然歩道になっていて、しっかりした標識が立っている。和市への道を下ると直ぐの所に、楓の大木の根元から湧き水が流れ出している。流れのそばにベンチもある。樋に導かれた水で顔を洗いさっぱりする。 あとは何度か林道を横断してひたすら下る。最後は民家の庭先をかすめて県道に出ると駐車場はすぐそばだった。 |
出発前は心配だったが、実際に歩いて見れば標識が整備されていてルートファインディングも必要なく、岩場の通過に少々気を付ければ一般向けのコースになっていた。
山行途中で出会ったのは単独行も含めて6パーティーだった。ただ、アップダウンが激しいのは変わらないので、どちらかと言えば健脚向きであると思う。 今の季節にしては花が少ないのが残念だが、歩き終えた満足感はとても大きい。帰りに添沢温泉に浸かり、もっと満足。
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アイコンをクリックするとマップがでます。 <田口(1/25000)>
[山行日] | 2002/5/6(月・振休) | |
[天気] | 曇り | |
[アプローチ] | 岡崎 →(R1)→ 国府 →(県道)→ 新城 →(R151、R257、県道32号)→
田口 →(県道7号)→ 和市 [約30km] ・集落のはずれ近く、東海自然歩道の案内板のところに駐車場あり。10台くらい駐車可。 |
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[コースタイム] | 和市駐車場 (0:25) 堤石峠 (0:20) 最初のピーク (0:35) 867mピーク (0:25) 平山明神山ナイフリッジ (0:25) グミンダ峠 (0:25) 大鈴山 (0:30) 鹿島山 (0:45) 和市駐車場 (計3:50) | |
[参考HP] | 「奥三河山歩会」 |
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[温泉] | 添沢温泉「雲泉閣 山の家」 05366-2-0520 ・設楽町田口のやや北にある鉱泉の一軒宿。入浴料600円 ・岩組みの浴室に板張りの浴槽。古い温泉宿の雰囲気がある。 ・15年くらい前に職場の旅行で泊まったことがあったが、当時と浴室がちっとも変わってなくて懐かしく、うれしかった。 |