玉原湿原(たんばらしつげん)                    [上信越] 約1200m

 

榛名山・掃部ヶ岳から続く

 赤城山南麓の滝沢温泉に一泊して、今日はいよいよ本命の赤城山だ。昨夜はすごい雷雨だったが、今日は陽も射して天気は良さそう。雨が空中の湿気を落としてくれたようだ。

 ところが、朝食のときに仲居さんが
「昨夜は、すごい雨でしたねえ。この宿も一時、途中の沢が崩れて孤立してたんですよ。今は土を除けて、通れますけど。」と言う。
 確かに、すごい雨と雷で、二度ほど停電したし、花火のような稲光のショーが3時間以上続いていた。僕は部屋の窓にへばりついて、網膜に焼きつく閃光に歓声を上げていた。

 ちょっと心配になって、
「赤城山へは行けますよねえ。」と聞くと、
「この道は上で通行止めになってますけど、昔の有料道路の方なら通れますよ。」という返事。安心して、朝食となる。

 出発しようと、宿から出てみると、宿の前の川の様子が一変していた。大量の土砂が流れ込み、岩は見えなくなっているし、樹皮がむけた大量の木が土砂の上に散乱している。こりゃすごい状況だ。孤立していたという言葉が現実味を帯びてくる。宿の河原近くの露天風呂も危なかったようだ。
 途中の沢が崩れたというところも、小さな沢だが、黒い土砂でU字状のつるつるの樋のようになっていた。小規模な土石流が通り抜けた感じだ。おお、怖わ〜。


 広域農道を通って、昔有料道路だった県道を赤城山に向かって走り始めたら、じきに車が路肩にたくさん止まっている。嫌な予感がしたが、その予感どおり、通行止めの標識が出ていた。
 赤城山は山上の大沼まで車でいけるが、南からの車道は2本しかない。そのうちの2本ともが通行止めになってしまっていた。

 どうしようかと、路肩で悩んでいると、県の事務所らしき車がとまり、道にコーンを並べ始めた。その人に聞いてみると、昨夜の雨で土砂崩れが起きたらしく、規模が良く分からないので、いつ開通できるか不明だと言う。
 赤城山の北側に回りこんでもう1本の道を登るという手もあるが、少々時間がかかり過ぎる。今日中に帰らなければならないので、時間的にちょっと無理。
 悩んだ挙句、沼田まで北上して玉原湿原に行くことにした。赤城山は今回はおあずけ。また、宿題がひとつ増えてしまった。

 玉原湿原に着いてみると、すでに駐車場はほぼ一杯。なんとか入口近くの路肩に止めるが、後からどんどん車が来る。ここも関東地方では人気のスポットなんだろうか。
 本格的なハイキングの格好をしている人もいるが、どちらかといえば、街の服装に運動靴といった感じの親子連れやカップルが目立つ。
 
 センターロッジでペットボトルの飲み物を買い、車止めを抜けて車道を歩き始める。
 10分ほど下って、右手の木道に入る。木道はダブルで敷設されている。

 樹林の中をなおも下っていくと最初の湿原。さっそくコオニユリの歓迎を受ける。緑の中の朱色がひときわ鮮やかだ。 

コオニユリ
 

 少し進むと、目の前が開ける。ここが玉原湿原のようだ。予想以上に広い。手前に小さな流れがあるようで、大きくなったミズバショウの葉っぱが低みを埋めている。
 全体になだらかで、池塘などはないようだ。やや湿原にしては乾いているような気がする。

 目立つ花はコオニユリ、コバギボウシ、ミズギクといったところ。キンコウカは群落になっているが、もう終わりかけ。
 よくみるとモウセンゴケ、サワオトギリ、ミズトンボなどの小さな花も咲いている。

玉原湿原の入口付近
 
 
コバギボウシ ミズギク
 
 湿原を左回りに一周する。
 奥のほうはヨシのような背の高い草が多く、入口付近の高層湿原とは様子が変わる。
 道はブナ林に入って尼ヶ禿山やブナ平への道を分け、湿原の北を通って元に戻ってくる。やはり入口近くの開けた湿原の方が気持ちがいい。

 帰りに車道脇に流れ出ている「ぶなの湧き水」で顔を洗い、ペットボトルに水を詰めて帰る。

終わりかけのキンコウカ

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[山行日] 2005/7/31(日)
[天気] 晴れ
[アプローチ] 赤城山山麓滝沢温泉 (広域農道)→ 関越自動車道 赤城I.C. (関越自動車道)→ 沼田I.C. (県道)→ 玉原湿原    [沼田ICから約20km]

・センターハウス前に駐車場あり。トイレ、売店あり。
[コースタイム] 標準コースタイムは駐車場から湿原一周の往復で約1時間。
[地図] 藤原湖 (1/25000)

 

[寄り道] たんばらラベンダーパーク
・高原の入口にあるラベンダー園。関東一の規模で5万株あるという。
・入場料700円。
・冬の間はスキー場になるようで、リフト(別料金)で上がった上にある。リフト待ち30分。歩いても20分で上がれるそうだ。下りは10分。
・規模は大きいが人も多い。



   
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