剣山・カヤの平北ドブ湿原( はっけんさん・かやのたいらきたどぶしつげん)   [上信越] 2036m

 

  岩菅山に登る予定だったが、台風の影響で天気が悪い。時々陽は射すものの、にわか雨が通り過ぎるし、風も強い。残念ながら岩菅山は諦めてカヤの平に向かう。

  カヤの平は想像以上に伸びやかなところだった。東西に越えるなだらかな峠のような感じで、あたりは牧場になっている。峠の南北の広い斜面は一面ブナの森だ。
  牧場の真ん中を通る林道の横に案内所が 建っていて、その前の駐車場に車を止める。
カヤの平牧場
 

  案内所で詳しいマップをもらい、北ドブ湿原を目指す。牧場の端に建つ「カヤの平高原ロッジ」のそばからブナの森に入る。道は広くなだらかだが、ところどころ大きな水溜りが道一杯に広がっていて、よそ見をしていると泥にはまる。

  周りのブナ林はなかなか見ごたえがある。巨木というほど太い木はないが、直径1m未満くらいのブナが競い合うようにまっすぐに伸びている。

 

ブナの森

  30分ほどで山道の交差するところに出て、道しるべに従って坂を下っていく。小さな湧き水を過ぎると、すぐに湿原に出た。木道が一本まっすぐに湿原を横切っていて、向こう側の森の縁に休憩所が見える。


  周りのブナ林はまだ緑一色だが湿原は早くも草紅葉で、一足早く秋の気配だ。昨日の四十八池と同様、ここもウメバチソウが満開だ。トリカブトやサラシナショウマも湿原の縁を飾っている。黄色くなったカヤの中に、ニッコウキスゲが種になって枯れたまま立っている。広々として実に気持ちがいい。
 

北ドブ湿原 サラシナショウマ

  休憩所で一休みして八剣山に向かう。湿原の一番奥をさらに進むと笹に覆われた谷筋の道になる。左手の笹薮の中でガサガサ音がするので何かと思ったら、キノコ取りの人だった。昨日泊まった宿に、カヤの平での熊の観察会のパンフレットが貼ってあったので、クマかと思い、ちょっと緊張した。

 

  左からの道を合わせ、急な坂を登る。ここはちゃんと刈り払いがしてある。傾斜がゆるくなった道の曲がり角に、八剣山の頂上の標識があった。回りは潅木が取り囲んでいて展望はない。やや戻ったあたりから、北の方 に山がすこし見えるくらいだ。

  標識の下に三角点がある。この山は2万五千分の1地形図にも山名が無く、八剣山は三角点の名前を取っている。山だけなら牧場の南にある高標山のほうが眺めがいいようだが、あちらには湿原はない。

  見上げれば雲の間に青空ものぞいているが、北から迫ってくる灰色の雲はいかにも降りそうでそそくさと帰ることにする。

八剣山山頂


  帰りは尾根の上の道をたどる。やっぱりにわか雨が降ってきた。傘を出したがすぐに止んでしまった。

  周りは相変わらずきれいなブナ林だ。下を見て歩いていると、キノコが目に付く。とても食べられそうにないような色のキノコだが、写真写りはいい。

 

 

キノコ (名前は分からない)毒かな?

  湿原近くの分岐から牧場へは、往きとは違う東回りのコースをとる。こちらのほうが傾斜が一定で、水溜りもなく歩きやすい。
 牧場近くに信州大学のブナ原生林教育園の入り口があった。そこの看板によれば、このあたりのブナ林は4〜500年の樹齢があるそうだ。


  ブナの森あり、湿原ありで、カヤの平はいいところだった。車からちょっと歩いただけでこんなに気持ちのいい森歩きができるところは、なかなかないと思う。道の状況が分からないが、雪のある頃に入れたらクロカンによさそうだ。


アイコンをクリックするとマップがでます。 <住郷・鳥甲山・夜間瀬・切明 (1/25000)>


[山行日] 2001/9/9(日) 
[天気] 晴れのち曇り時々雨
[アプローチ] 北志賀高原 →(県道 奥志賀高原栄線)→ カヤの平牧場  [約17km]
[コースタイム] カヤの平牧場  (0:35)  北ドブ湿原  (0:25)  八剣山山頂  (1:00)  カヤの平牧場    (計2:00)
[帰り道] カヤの平牧場  →(清水平林道)→  木島平村糠塚  →(R403)→  中野市  →(有料道路・志賀中野道路)→  上信越自動車道 信州中野IC    [約35km]
[アドバイス] ・牧場のそばにある「カヤの平高原総合案内所」で周囲の散策に役立つ詳しいマップがもらえる。
・カヤの平ではキャンプもできる。(6月初旬〜10月下旬)
・カヤの平の案内HP「山ナメクジれんらくちょう」

   

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