真富士山(まふじやま)                                  [富士山周辺]   1402m

 

 天候不良で1週間延期になった「山歩会」の真富士山山行。今週は天気もよく7名が参加した。

 林道脇に車を止め、黄色い看板と石仏の立つ登山口から山道に入る。しばらくは薄暗い桧の植林地が続く。道は始め斜面をトラバースしているが、すぐに直登するようになる。いきなりの急登で息が上がるが、先週朝熊ヶ岳を登っているので、何とか皆に付いて行ける。

登山口を出発
 

 再び巻き道になったあたりで振り返ると、南アルプスの真っ白な嶺々が、山頂だけ前山の向こうから顔を出している。台形の山は聖岳だろうか。こちらからの南アは馴染みが無い のでよく分からないが、きっと前聖岳との吊尾根が見えているのだろう。
 左手の方の双耳峰は何だろうか。(帰ってからカシミールで調べたら大無限山だった。)

大無限山(中)と小無限山(右)
 

 右手下がりのトラバース道を進むと雑木の間から真富士山の稜線が迫ってくる。右手の切り立った崖の上は真富士神社のあるピークだろう。道は黒部沢の源頭に近づき 、岩だらけの沢を渡る。水は流れていない。日陰の岩の上には薄っすらと雪が積もっている。
 

第一真富士山(左)と神社のピーク(右)
 

 ヲイ平は杉の植林地で、ここで第一と第二の真富士山への道が分かれる。まずは第一真富士山に向かう。道はまたひとしきり登りが続いた後、トラバースしながら真富士山と神社の鞍部に向かう。少し雪が多くなり足元が滑りやすい。

 こんな 斜面にもカラマツが生えているが、Tuさんに聞くと自生地ではないからこれも植林したものだと言う。杉が植わっていたヲイ平でもかなり里から奥まったところなのに、昔の人の植林に対する情熱には頭が下がる。

 枝先の隙間からなんとか南アルプスが見える。先ほどより高度が上がっているので、 山体がよく見える。遠くに白い山が見えると、訳もなく胸の奥がじんとする。ネパールトレッキングでヒマラヤの峰を見るような、と言うのは言い過ぎか。

薄く雪が積もっている
 
南アルプスの白い峰々(左から上河内岳、聖岳、赤石岳、荒川三山)
 

 真富士神社との分岐に着くと、先に行っていたNaさんから「富士山が見える」という声が上がる。カメラだけ持って神社に向かうと祠の前で皆カメラや携帯を構えている。ちょうど第一と第二の両真富士山の鞍部越しに富士が覗いている。
 風が弱いので薄っすら霞がかかっているが、よく見える方だろう。宝永火口の上あたりに雲が湧いている。展望が利くうちに山頂まで行こうと、お参りもそこそこに鞍部まで戻り、荷物を担いで山頂に向かう。

真富士神社前からの第二真富士山
 

 山頂は東側が開けた岩場になっていて、長い裾野を引く富士山がまるっと全部見える。これはすごい。
 右手には駿河湾が広がっていて、対岸には伊豆半島がかすみ、手前には三保半島に囲まれた清水港が逆光に輝いている。

第一真富士山からの富士
 

  足元の海岸近くの山のピークに何本ものアンテナがみえるので、あれは昨年登った浜石岳だろう。あの日はとても寒くて、山頂で雪に降られながら昼飯を食べたと、Suzさんがしみじみと話す。

 山頂の岩の上には開山記念の石碑が立っている。碑文の石が欠けていて全文は読み取れないが、昭和6年にハイキングコースが開かれ、富士山が真正面に見えることから真富士山と名づけられたこと、里から山頂まで三十三体の観音像を据えたこと、開山30周年を記念してこの石碑 を立てたことなどが書かれていた。

確かに富士山の真正面という感じはする。一方、木立に邪魔されて南アルプスの展望が開けないのが残念だ。

 ゆっくり昼食をとったあと、第二真富士山に向かう。ヲイ平への下降点の鞍部までは早かったが、そこから山頂までは意外に長かった。
 尾根が痩せて切り立ったところもあるし、山頂の手前にもうひとつ鞍部があり、その登り返しは岩場になっていてロープも張ってあった。岩場を登りきって傾斜が緩くなっても山頂はなかなか現れず、南北に長く伸びたピークの北の方に山頂三角点はあった。

第二真富士山への稜線上の岩場
 

 第二真富士山の山頂は第一よりも狭く、わずかに富士山の方向だけ開けている。富士山を背に石仏が立っていて、光背には五十三番と彫ってある。第一と第二の間の石仏は三十三体のほからしい。観音さんだけあって、先週登った伊勢の朝熊ヶ岳の石仏より、ずっと優しい顔をしている。

 山頂の北のはずれまで行ってみたが、木立が途切れることは無く、南アルプスの展望は開けなかった。後から登ってきた地元の人によれば、真富士山の北にある青笹山からは南アルプスの方もよく見えるらしい。次の目標が決まった。

第二真富士山山頂の観音像
 

 鞍部まで戻って、直接ヲイ平に下る。植林地の中をひたすら下るだけ。ヲイ平からは登りの道を戻る。登山口まで戻ると、 冬の陽は既に傾き始めていた。登山口の石仏を確認したら二十番だった。


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[山行日] 2008/1/19(土) 
[天気] 快晴
[アプローチ] 東名高速 静岡IC (県道27号、29号)→ 静岡市葵区平野 (林道:6km)→ 登山口  [約32km]

・平野集落から林道への入口は茶色の小さな看板があるだけで、分かりにくい。
・登山口に駐車場は無い。路肩に駐車する。
[コースタイム] 11:05  登山口 (0:15) 黒部沢源頭 (0:35) ヲイ平 (0:40) 真富士神社  (0:05) 第一真富士山山頂 (0:10) ヲイ平下降点 (0:35) 第二真富士山 (0:25) ヲイ平下降点 (0:15) ヲイ平 (0:35) 登山口  16:10     (計3:35)
[ガイドブック] 新・分県登山ガイド21「静岡県の山」(山と渓谷社)
[地図] 和田島(1/25000)


   
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